もし、組み分けしてもらえるのなら、スリザリンかグリフィンドールがいい。
パーセルタングはぺらぺらで、稀少な魔族の末裔だったりオッドアイだったりレイブンクローの孫設定でもいいけれど、特殊能力無しの平凡な学生でもいい。ホグワーツの学生になれるのなら、それで。(でも、できればパーセルタングを話せる設定だけは外したくない)

ホグワーツの学生になったら、鬱陶しい双子に「「姫!!」」と呼ばれて追い回されるのもいいし、ハー子と女子トークしながらロンやハリーとまったりしたり、スネイプ先生と魔法薬学の課外授業を受けたりもしたい。
親世代もいい。腹黒リーマスにヘタレシリウス、リリーと結婚する前のジェームズと何か悪巧みをしてみたい。

 

先週から、金曜ロードショーでハリーポッターの映画全作品が放映されている
3月15日、私のタイムラインは「フォイフォイフォイwww」「埋マルフォイ」「レヴィオサ~」などハリポタ一色にそまってた。
私の周りだけかと思っていたけれど、Twitterのトレンドまでハリポタに占拠されていたから、みんなハリポタ大好きなんだなぁ、とにやにやしながら、テレビと携帯を比べ見ていた。

 

最終巻『死の秘宝』を読み終えてしまった時はなんだか寂しかったけれど、まだ映画という楽しみが残されていたから平気だった。2011年に『死の秘宝 PART2』を見てしまった時、私の体はエンドロールに乗せられてこの世界から追い出されてしまうんだ、あーあもう大人になるんだもんなぁ、と物語とは関係無しにぐちゃぐちゃに泣けた。

私がハリポタを初めて読んだのは小学校三年生くらいの頃だったから、ハリーとは丁度同い年くらいだ。約一年のペースで発刊されるハリポタを読みながら、ハリーと一緒に反抗期や思春期を越えてきた、と勝手に思ってる。物語が完結した時には、ハリーも私もすっかり成人していた。

『死の秘宝 PART2』の映画館を出た時、ハリーはホグワーツを卒業し、物語は終わり、私は成人したんだ、と思って、妙な気合が入った。でもそれは変な方向に働いて、これからはハリーポッターを読み返してふわふわする時間なんてないんだ、もっと何か色々とにかくなんでも勉強しなきゃ、と何故かハリーとの決別のような形を迎えた。

 

原作も映画も終わり、ハリーポッターが話題になることも少なくなっていたのに、金曜ロードショーで見返せる上に、Twitterではトレンド入りまでするなんて。
先週もテレビの前で、「オリバンダーの店で花瓶割れるシーンがカットされてる!」「ホグワーツきたああ!」とつぶやきながら、やっぱり今でもハリポタが大好きだなぁ、と思ったのだ。タイムラインにいる人たちも、同じ気持ちなのかもしれない。

 

久しぶりに、ネットを使って、「ハリポタ」で検索をかけながら、ファンサイトや同人サイトを巡っていた頃を思い出した。

 

 

 

 

夢小説、と呼ばれるジャンルの二次創作がある。
BLは原作に登場する人物しか使わないけれど、夢小説は書き手の作った名前変換可能なキャラクターに、読み手の好きな名前を入れられる特別な小説だ。そのキャラクターと原作の登場人物とで、小説を書いていく。

私は夢小説が大好きだった。小、中学生のころは、そればかり読み漁っていたし、書いたこともある。もしホグワーツに入学できたらどんな学生生活を送るんだろう、ハリーと友達になってマルフォイと喧嘩できたら楽しそう、不老不死設定でジェームズのこともハリーのことも知ってる設定で物語全体を俯瞰して裏から何か手助けできたらいいな、もちろんクィディッチもやりたい優勝したら双子に胴上げされてそのままお持ち帰りされたりするのかもしれない! と、あれやこれや考えるのは、中学生になったらどんな部活入ろっかなぁー、友達とプリクラ撮ったりするようになるのかなぁーと妄想するよりずっと幸せだった。

 

飛行術の授業なら絶対サボらないのになぁ、と体育の授業中、保健室でよくぼやいた。
ハリポタの世界観が大好きだったし、こんなにすばらしい世界で、素敵なキャラクターと会話をしている「私」はダメな人間じゃいけないから、ハリーやハー子に好かれているってことは「いい子」なはず! だから私にとって夢小説は、好きな世界に浸れることと、変身願望と、大好きなキャラクターと穏やかな日々を過ごせる、ありとあらゆる欲望を叶えてくれる素晴らしい小説だった。

塾の宿題も夜の十二時には寝なさいというお約束もそっちのけでこっそり読んだ。家族旅行が決まった時も、これは夢小説を好きなだけ読み漁れるチャンス! と思い、仮病で家族旅行をサボり二日間夢小説サイトをめぐっていた。(自分勝手な子どもだったなーと思うけれど家族に隠れて読んでいたのも良い思い出だ)
ハリポタの世界観の中を漂っていられるのが嬉しくて仕方なかった。

 

 

中でも、一番好きなのは秘密の部屋で初めて登場する、トム・リドルの夢小説だ。
リドルは秘密の部屋や、謎のプリンスの回想シーンにちょこっと登場するくらいでほとんど出番はないけれど、リドルの夢小説はたくさん書かれている。

優等生、腹黒、黒髪紅眼の美少年、先生方も彼には一目置いている、蛇と会話できる、ゆくゆくは魔法界をのっとるヴォルデモート様。魅力的すぎる。リドルと秘密の部屋でバジリスクと遊びながらホグワーツ征服とか企めたら超楽しいだろうなぁ……。

とにかく、リドルはすごい。リドルの夢小説はものすごくおいしい。

リドルとただ談話室で試験勉強をするだけだったり、図書館でこっそりキスしたりするような甘甘やほのぼのが大好きだけれど、相手がリドルだと、ただの甘甘、ほのぼのでは終わらない。トム・リドルは、ハリポタに登場するキャラクターの中で相当厨二度が高いキャラクターだ。優等生で野望があり一時は魔法界を征服するも没落、愛は信じない、そして黒髪紅眼。完璧すぎる。

そんなリドルに、「死喰人としてついてきてくれないのなら、ここで今君を殺す」って言われるとか「落ち着いたら迎えに来る」と言い残してリドルは消え次の日から戦争がはじまったとか、いくらでもヤンデレシチュエーションに浸れる。
ヤンデレなんて、現実でならとても困るし一般書籍では読めたもんじゃないけれど、夢小説なら不思議とぐっときてしまう。

 

私のリドルとハリポタ世界への愛情は完全にインフレを起こしていたので、とはいっても、インフレしたところでどこにもやり場がないほどだったので、ヤンデレ気味に「僕は君が好きだ、だから殺す」で返されるくらいで丁度つりあいがとれていたのかもしれない。ただ単に厨二病に響いただけかもしれないけれど。
でも厨二くさいことは、実はけっこう面白いと思う。

 

もちろん原作を読んでいるから、夢小説の作者も、読んでいる私も、リドルがやがてヴォルデモートになって終いにはユニコーンの生き血をすすらなければいけなくなることや、つるっぱげの蛇顔になってしまうことも、知っている。だから、ほのぼのしたリドルとの日常を描いた夢小説でも「あぁでもいつまでもこうはしてられないんだよなぁ、このあと魔法界は大変なことになって彼は……」みたいな感傷モードに入ってしまい、リドルとヒロインがのんびり過ごすような夢小説でも、特別な気持ちが混じった。

 

 

ひたすら消しゴムのカスで練消しを作っていた授業中。
さみしがってた私にとって、夢小説はありがたい避難場所だった。
そのページを開けば必ず素敵な世界と好きなキャラクターがいて、それは小説の中でしかないんだけれど、それでもほっと一息つけた。少なくとも、私は一つでも、楽しいと思えることを見つけていたんだなと思う。
受験勉強でネットしている時間がなくなり、上京してからは大学生活でせいいっぱいだったのもあって、すっかり夢小説から遠ざかってしまった。
けれど夢小説は、いくら忘却呪文を唱えても忘れることのできない、大事な思い出の一部になっている。

先週見た『賢者の石』に登場した箒は「ニンバス2000」だった。2000年っていつだよ、と少しびっくりしてしまう。
今日放送した『秘密の部屋』では「ニンバス2001」が登場したはずだ。もう十年ちょっとたってしまった。でもまだ大好きだ。きっといつ見ても、ウィンガーディアムレビオ~サ!って叫びだしたくなるんだろうし、もっとおばさんになったとしても、わくわくしてしまう気がする。
そういう物語と一緒に育ってこれて、ほんとうによかった。

ちなみに、ねとぽよSP1に、シリウスの夢小説が載っています。
そちらにも目を通していただければ大変嬉しく思います。

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