ねとぽよちゃんです! ねっとぽよくたちが、ニワカのくせに「ちゃんねる系座談会」を開いちゃったぽよ。あまりに盛り上がってしまったので、後半にまで続いてしまいました。暇ですね!

  

 座談会前半はこちらです!

架空の2ちゃんスレを妄想 pixivで大流行の「ちゃんねる系」座談会<前半> – ねとぽよ

 

また、象徴が気になったちゃんねる系小説をまとめてみました!

2chで物語が進行する小説 ちょっと気になる「ちゃんねる系」をまとめてみた – ねとぽよ

 

 こちらにある小説も、座談会で話題になっているので合わせてお読みいただくと、話が分かりやすくなると思います。

 座談会後半は、「ちゃんねる系」を女の子ウェブや文学の視点から考えてみました。

 2ちゃんねるが、新たなネット二次創作を生んだってどういうこと……!?

 

一応収まりはついたので、「な~にやってんじゃ、この暇人が」と思いながら、ご覧ください……!

 

なんで流行ってるの?――相関図萌え

 

――既にこの座談会でも話してるけど、なんでちゃんねる系って流行ったんだろうね。

もぐもぐ:2chって、女性も結構書き込んでるんだけど、なんとなく男のものという感じがありませんか? それを、女の子は「ちゃんねる系」で解消してるのかなと思います。「そこには入れないけど、私の妄想の中にある2ch」みたいな。
あと、ちゃんねる系は、BL好きだけど性愛が嫌いな人が読んでるんじゃないかなと思います。CPで関係をしっかり描かなくても、その前のわちゃわちゃを描ける。

なおりん:確かに、ちゃんねる系は恋愛やエロが薄いんですよね。私が知ってるウェブの二次創作とは、だいぶ違ってる。

大地:それはpixivというオープンな場でやってるのも大きいと思うけどね。pixiv小説の上位作品はそんなにエロはないし。ただ、確かにちゃんねる系は、いわゆる二者間関係を描いてないんだよね。もっと複雑な人間関係を描いていて、東園子さんのいう「相関図萌え」に近い。

もぐもぐ:小説のBLは一つの関係性を深めていくんだけど、ちゃんねる系は「ネタの集積」という感じですよね。私は、二葉亭四迷のネタの話が面白かったんですけど、あれも複数の関係性を描いてますよね。誰もが知ってる「I LOVE YOU」をどう訳すかってネタが前提にあるのがわかってる上に複数の関係性を描いていくかたち。

 

――東園子さんは、「恋愛」のコードを用いたコミュニケーションの効率性が、腐女子の共同体を強化していくという話をしてますよね。でも、単に効率のよいコミュニケーションをしたいだけなら、ちゃんねる系の方が圧倒的に優秀でしょ、という話はある。

大地:小説で黒子の群像劇を書くのは大変だけど、ちゃんねる系ならキャラの数だけコメントを書けばいいだけだからね(笑)。そもそもウェブサービスって、不特定多数の人間のコミュニケーションを、ディスプレイという平面上でわかりやすく表現するツールだから。今や2ch的な視線は多くのネットユーザーが内面化しているわけで、それを再現した物語は、そりゃ相関図を描くのに向いてる。

 

――東園子さんの話って、デジタルネイティブ世代の「思春期に入る前からBL読んでましたけど何か?」という腐女子の話を聞いてると、まあ分かるんだけどね。

大地:ちゃんねる系でのBLについては、凄い濃いものはないけど、空気のように当然のものとして扱われてる印象かな。基本的には、複数のキャラクターの相関図を描くことに労力が割かれている。ただ、BLが空気になっているのは、自分の実感ではpixiv小説の上位作品に共通することという感じだけど。

もぐもぐ:私は、「ちゃんねる系」は夢小説に近いと思いましたよ。テニプリって夢小説でも盛り上がってたんですけど、あの男の子たちのわちゃわちゃで盛り上がる感じは、黒ちゃんねるに引き継がれてる。紙になって印刷したら興ざめしそうというのも、ある意味似てるかな。

大地:ただ、黒子には全然女の子は出てこないから、そこは夢と違う。でも、黒子の女装ネタを妙に見かけるんだよね。黒子に感情移入している女の子が結構いるのかなとは思ってる。

 

――夢小説の主人公の視点に、黒子の立場がちょっと似てるんだよね。

 

2ちゃんねるの形式だけ踏襲した

 

――あと、小説との比較で言うと、ろっくまんがちゃんねる系を見て、「これだったら、私も書ける」って言ってたんだよね。そりゃ、毎日小説読む人なんていまや相当に奇特な人だけど、2chまとめを毎日読む人は結構いるからね。

もぐもぐ:書いていて楽しそう。去年の夏、ちゃんねる系がめっちゃ盛り上がっていたときに、「みんなが書いていて面白そうだなと思ったから書きました」と書かれているのをたくさん見ました。型は決まってるし、ネタ勝負だから、やりやすいんだろうな。

 

――「最初の近代小説」といわれる『パミラ』なんて、今では書簡体小説なんて名前を付けられてるけど、実際はラブレター代筆家が書いた、物語風ラブレター模範文例集だからね(サミュエル・リチャードソン – Wikipedia)。「地の文」という存在が確立した現代の小説作法を前提にすると、確かにちゃんねる系は異端になってしまうけども、小說黎明期の、書簡や日記や告白文みたいな既存の叙述形式の模倣としてのフィクションを思えば、そのインターネットにおける反復という感じなんじゃないかな。

もぐもぐ:それって、2ちゃんまとめは、現代のコミュニケーションのノウハウ本だったってことですよね。ヤバい(笑)。

 

男性がちゃんねる系をすると、『オナホ男』に近づく?

 

――ちゃんねる系とは何かについて考えてきたけど、ちょっと視点を変えて、これからはどうなっていくと思う?

もぐもぐ:夢小説と一緒で、紙に出来ないのは欠点になるかもしれない、と思った。『何者』(リレー書評第8回:「何者」、インターネッターを刺し殺す小説でした – ねとぽよ)でも感じたけど、ディスプレイコミュニケーションは紙になるとびっくりするほどサムいんですよね。それは、ちゃんねる系も一緒で、親指でスクロールしてたら自然に入ってくるけど、紙は無理でしょ……。

なおりん:私はそろそろ、男性も目をつけそうと思いました。で、男性がちゃんねる系をするとなると、何となくですけど、『オナホ男』に近づきそうな気がします。

もぐもぐ:たぶん、『オナホ男』と今の「ちゃんねる系」は違うんですよ。だって、『オナホ男』が目指してるのは、型のパロディじゃないですか。なるべく近づけてなんぼで、物まねっぽいんですよね。それと比べて、ちゃんねる系は2chの文体さえ残っていればよくて、本物の2chと違うことはそこまで問題ないと思うんですよ。『オナホ男』はあれほど正確にパクられてないと面白くないわけで、見た目勝負のところもあるし。

なおりん:たしかに、『オナホ男』はあれだけデザインにこだわってる面白かったけど、文字だけ印刷しても全く読みたくないなあ……。文体に関しては、2ch本スレとちゃんねる系の間にある余剰が、LINEパロとかを生んだんだと思う。物まねとは違って、余剰を楽しむ点はなりきりと似ていますね。

 

――ちなみに『オナホ男』との比較で言うと、あっちはメディア横断的に作られてもいるよね。

大地:これは、なぜ2chの形式が選ばれたのかという問題への一つの回答なのだけど、2chスレって、コメントが1000まで行ったら強制的にコミュニケーションが終わるんです。その点で、小説のようなパッケージメディアと相性がいいんです。

 

――強制的にコミュニケーションを切断するウェブサービスなんて、いまや2chくらいだよね(笑)。確かに、他のウェブサービスはだらだらいつまでも続いていってしまう。オナホ男も、結局はオカルト的に無理やり終わらせてるわけだし。

大地:そういう完結のない世界における創作って、もはやTwitterのbotしかない気がする。1号のソシャゲ特集からずっと考えてることだけど、終わりのあるコンテンツが存在しない世界はありえるのかな?――個人的にはそれはないと思うけど、2chのスレッドより新しい完結の単位はまだ台頭してきてないじゃん。2chまとめサイトが滅びない限り、ちゃんねる系は存在するんじゃないかな。

 

ウォッチャーの「俺たち」=「モブ」

 

――他にも、2chの二次創作ならでは特徴として、「モブ」の存在は重要かもしれない。タグまでつけられているもんね。

大地:モブというのは、BL的なコミュニケーションを見てる「私たち」のことです。客観的なつっこみをする立場ですね。

――要は、2chの「名無しさん」のことなんだけど、ちゃんねる系を読んでいると改めて、2ch的な視線とは何かと考えたくなる。

大地:モブって、基本的にはスレにだけ参加しているウォッチャーなんですよ。ところが、彼らの内の誰かが、「たまたま駅でタイガーに会っちゃったんだけど」とか言ってスレを立てる権利を持てるんだよね。そうすると、モブはコテハンに変わって、スレ内でひとつの一貫したキャラクターを持つ。

もぐもぐ:小説って、読み手と書き手がはっきりしてるじゃないですか。ちゃんねる系って書き手の立場が面白いんですよ。作者であると同時にモブの一人でもある。ゲームマスターみたいですよね。

大地:その点で言うと、ちゃんねる系を読んでいてしみじみ思うのは、オリキャラというのが本当に描きづらくなってることだよね。

もぐもぐ:オリキャラの出てくる二次創作、確かに下火なのかなぁ。

大地:俺は、オリキャラが出てくる二次創作が好きだし、それを書きたがる欲望もよく分かるんですよ。それって、物語世界に自分が影響力を持ちたいという欲望で、原作との葛藤の中で描かれてきたものです。それに対して、モブを使う二次創作というのは、原作とコンフリクトを起こさずに、自分を世界観に溶けこませられるんです。やっぱり、自分が物語世界に影響を持ちたい、あるいは持てるという感覚が薄れてるのかなと思ってしまう。

 

――よくBLと夢小説の対立が話題になるじゃないですか。聞いていると、両者の最大の対立は、同性愛を許すかどうかという話以前に、そもそも自分を物語の中に入れることを許すかですよね。

大地:今までは無遠慮に自分を二次創作に入れ込んでよかったのに、正当性がないと投げ込んじゃいけなくなってるのかなと思った。夢小説の数が減ってるのもそのせいかもしれない。逆に、ちゃんねる系は、作品を読み手の方に連れてきたものだよね。

なおりん:その点は女の子ウェブで例えると、なりきりと同じですね。ちなみに、さっきは夢小説やBL的な読み方ができるとも言ってたけど、ちゃんねる系は、夢とBLとなりきりの二次創作のハイブリットみたい。

 

――前にひろゆきさんだったか、ウェブサービスなんて掲示板から技術的に特に変わってないみたいな話を言ってたけど、逆に言えば掲示板は、あらゆる既存のネット上の表現を盛れる器でもある。

大地:あと、三次元はTwitterね。フィクションと視点で言うなら、botでしょ。これだな。ちゃんねるとbotこそがフィクションが流れ込んでいく場所になってると思う。

 

――という感じで、女の子ウェブや近代小説まで、いろんな視点から「ちゃんねる系」について考察してみましたが、これからもどんどん進化していきそうで、楽しみですね。今後のちゃんねる系も追ってみましょう!

一同:わーい!

<了>

 

 

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