4月19日24時から、新宿ロフトプラスワンでソーシャルゲーム(ソシャゲ)についてのトークショーイベント「朝まで生ソシャゲFINAL」を開催します。

 

 

 それにあたって、ねとぽよではソシャゲのガチ勢に取材を行いました。この業界では、よくゲームに◯万円注ぎ込んだとする話を耳にします。一体、彼らはどうして大金を投じるのか、その心境とは何かを中心に、上位ユーザーのコミュニティについてなど、色々質問してみました。

 今回インタビューに応じてくれたのは、ソシャゲの代名詞的なタイトル『アイドルマスターシンデレラガールズ(モバマス)』のプレイヤーであるN氏。三流プレイヤーを自称しながら課金額は計150万円という剛の者です(今回、匿名を条件にインタビューに応じてくれましたが、「分かる人には分かってしまう」とのこと)。2011年冬に始まったモバマスが、多くの課金兵を生みだした結果、今やバンダイナムコゲームスを支える柱の一つとなっているのも頷ける話です。ちなみに、N氏はニコニコ生放送でモバマス実況を配信するなど、ソシャゲの「ソーシャル」部分でも大いに楽しんでいました。モバマスのエンジョイ方法から、ソシャゲの未来についての考察まで、ガチ勢の見解が読める貴重な機会です!

 

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アイドルマスターシンデレラガールズ

 

モバマスの遊び方

 

――いつから嗜んでいるんですか?

 2012年の5月頃です。ログイン日数に応じてプレゼントが貰えることもあり、ほぼ一日も欠かさずログインしています。

 

――始めたきっかけは。

 元々ゲーム関連の活動をしていて、ソーシャルゲームに関してはある意味批判的な立場を取っています。ソーシャルゲームは、端的に言うと、大人はともかく子供に薦められるようなものではないと思います。ただ、ソシャゲを批判する人の中には、がっつりやったことがない人もいます。私の場合、こうした活動をしている以上、まずやってから語るべきだと思いました。

 

――結構やりこんでいるんですか?

 モバマスにはプロデューサーランク(S3~Fまで)と、レベル(300まで)があるほか、週次ランキングなどがあります。私は二流(いわゆるS2)一歩手前の三流(S)プレイヤーですねランクはファン数で決まるので、イベントで活躍する必要があります。過去イベントのうち数回程ランナーとして参加し、上位報酬を獲得しました。1回のイベントにつき、1枚取りであればスタミナドリンク(体力回復剤)またはエナジードリンク(戦闘力回復剤)が1000本~1500本ぐらい必要です。仁奈フェスのときはひどかった……。

 

――現在のステータスと、プレイ頻度を教えてください。

 手持ちにスタドリが4932本、エナドリが2297本あります。他に控えのアイドルで換算できるものが3~4000本分あります。ガチャでキャラクターをだしてスタドリと交換する感じですね。イベント時はかなりポチポチプレイしていますよ。昼休みとか帰宅後とか。よく、ソシャゲをやっていない人は「時間を節約するために課金するんだ」と言いますが、それは昔の話で、今は上位プレイヤーにはあまりあてはまらないです。この間のアイドルプロデュースイベント(3/28~4/9)も実際に15~20時間プレイしないとボーダーに届かないんですよね。

 

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スタドリ・エナドリの本数

 

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第33弾イベント「アイドルプロデュース 春の桜祭り編」 報酬の「夜桜小町・藤原肇」も無事ゲットしたそうです

 

――他プレイヤーと交流はあるんですか?

 ソシャゲの肝はソーシャルなところにあるので、ユーザー交流がなければ多分面白さは90%減です。プロダクション内のコメントなどで普段は会話をしていますが、その他、ひょんなことからSkypeで集まってPS3のネット対戦をするなど、いろんなゲームをしたりして楽しんでいます。ニコ生実況もほぼ毎日観ています。コミュニティがあることは重要ですね。

 

課金だよ、150万円

 

――ずばり、課金額は合計でいくらになりますか?

 全部合計すれば150万円ぐらい使ってると思います。最近は抑制気味です。4月はウサミンガチャがきたので40kほど課金しました。爆死したけど。

 

――150万!! それだけお金を使う理由は何ですか?

 課金額が凄いといっても、個々人の収入によるんですが……。モバマスに魅力がある、と言うより、経済圏のあるゲーム全般が好きという感じです。僕は昔、9年間ぐらいリネージュというゲームをやっていたり、LeagueofLegends(LoL)をやっていたり、オンラインゲームに割と慣れていたという背景があります。LoLにはありませんが、多くのオンラインゲームには経済圏――すなわち通貨とアイテムがあってトレードができるシステムがあります。モバマスもスタドリやエナドリを通貨として、アイドルのカードをトレードすることが出来ます。この構造自体がモバマスの高価なアイドルを揃える動機の一つになっていると思います。

 

年収150万円で僕らは自由に生きていく (星海社新書)

(※150万円=イケダハヤトさんによると一年間自由に生きられる金額)

 

――初めてモバマスに課金したのはいつでしたか?

 最初に課金したのは「パワフル双子姉・双海真美」が追加された時です。何の気なしに3千円だけ回したら双海真美が当たって味をしめました。その後の輿水幸子ガチャあたりから回す時は30kはつぎ込む感じで、シンデレラ十時ガチャ、新春しまむらガチャ、高峯のあBOXガチャなどはそれぞれ100k以上使ってますね。

 

――課金額が、10万円(100k)を超えた時の印象は?

 特にないです。出るまでやった結果ですね。

 

――課金する・したくなるのはどんな場合ですか?

「1.嫁が来たとき」「2.周囲がガチャを回してるとき」「3.いつもよりお得感があるとき」です。スタドリは13本千円、1本70~80円くらいが現在の定価ですが、確率交えて計算すると期待値では1本50円で買えるぞ! みたいな時があります。(例:30kでスタドリ600本分の価値があるアイドルがスカウトできるとか)そういうお得感があるとやりたくなります。また、ガチャには種類(スカウトガチャ、10%チケットガチャ、ボックスガチャ、ステップガチャ)があるんですが、回すたびに「スカウトチケット」がもらえて、700枚集めると特定のアイドルと交換できるシステムがあります。3千円でチケットが60枚出たりしたら中途半端に終われないですよね。

 

モバマスの楽しみ方

 

――上位ユーザー同士のコミュニティはどんな空気なんでしょうか。

(課金に関して)やや麻痺してるかもしれませんが、昔のオンラインゲームでも上位ユーザー同士は常識が通用しませんからね。「生活のレベルを下げてレベル上げ」なメンバーも多少いるような。借金してまで、という人もたまにいますが、流石にごくまれな気がします。ただ、廃課金兵ほど淡々とガチャを回している印象があるので、ニコ生主の人に課金額を聞くと400万以上と言われて戦慄することもあります。

 

――二次創作やニコ生など、モバマスはゲーム以外でも人気ですよね。

 モバマスを楽しむ醍醐味の、もう一つの側面です。ニコ生ではまっつんさんが、豪快な課金(今月300k以上)に加え話も面白いとあって人気です。自分も配信をしているんですが、BGMをUC(ユニコーン)にするとレアが当たるみたいなジンクスが生まれたりしました(笑)。pixivでは、ごがつなのかさんの漫画が好きですね。廃課金&無課金ネタが面白いです。

 

――ちなみに、ゲームの引退についてはどう感じていますか?

 辞めるときは何の感慨もなく辞めると思いますね。所属プロダクションでは一人二人ぐらいしか引退していないです。ニコ生周りでも特にいない。上位ほど辞めにくい構図はあるかもしれません。自分の課金額を省みるのが一番良い辞め方じゃないですかね。

 

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攻撃フロント キャラ名(レート)
望月聖(900)、渋谷凛(1900)、高峯のあ(1300)、高垣楓(1300)、鷹富士茄子(2700)
※鷹富士茄子はフロントではないそうですが、スクリーンショットを提供して頂きました

 

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オール高峯のあ(いわゆる「嫁」とのこと)

 

よくある批判に応える

 

――ここからは、よくある批判に答えていただければと思います。まず、「単なるデータに金をつぎ込むなんて、あんたバカぁ?」

 バカかもしれないですよねぇ。ただまぁ、価値観の問題です。僕は今のところ車も乗らないし、食にも興味ないし、たばこや酒もやらないし、パチンコとかも興味がないですが、それらに興味がある人もいるわけで、どっこいどっこいじゃないですかね。

 

――「ソシャゲってつまらないよね」

 ゲームジャンルの一種なので、響く人もいれば響かない人もいるんじゃないでしょうか。それでも、一時期のロワイヤル系からUIやゲーム性を含めてずいぶん進化してきた印象があり、ゲームの裾野を広げているのは事実だと思います。僕もコンシューマの方が好きなんですが、カジュアルに電車の中とかでやるには、スマートフォンというデバイスは優れていると思います。

 

――「射幸心を煽るという文句があるけど……」

 あたかも高確率で当たるような言いぶりでガチャを引かせるのは良くないですね。ただガチャを引く動機は、根源的には「当たるから」ではなくて、「仮に当たったとしたら良いことが起こるから」なんですよね。自慢できるとか、好きなアイドルのボイスが聴けるとか、デッキを強化できるとか。それを、「虚栄心」という言葉で片付けてしまうのは簡単ですが、別にゲームに限らず、女の子にモテたいからスポーツを頑張るとか、やや極端な例ですが、世間から注目されたいからクラッキングする人もいたりしますし、人間に元々備わっているソーシャルな動機って沢山あると思うんですよね。この根源的な動機を外的な規制だけでコントロールするのはなかなか難しいところです。健全にゲームを楽しむためには規制だけではなく、ユーザー自身のリテラシーも高くならないといけないんじゃないでしょうか。

 

――「ソシャゲは問題だらけみたいだけど、今後どんな規制が必要なの?」

「ソシャゲを潰すにはどうすればいい?」ではなく「健全な金額で健全にゲームを楽しんでもらうにはどうすればいい?」という前提で語るならば、先ほどの確率開示問題に加え、「相対性」が問題だと思います。ユーザー対戦では、相手が10万円課金した場合は11万円課金しないと勝てないわけで、イベントなんかだと相対性がボーダー争いを過熱させる原因になっています。300万人が登録するモバマス(イベント参加者は20~25万人)で、上位報酬が1500位までとかはやりすぎだと思います。これを2~3万円で上位狙えるようにボーダーを引き下げてもらえると、もっと多くの人が楽しめるのではないでしょうか。

 

ソーシャルゲームの未来

 

――なんでソシャゲの寿命は短いのでしょうか。

 ソシャゲの寿命は約3ヶ月~半年とも言われています。なぜ終わるのか。それは大人の都合です。要するに、課金がされなくなって、コストをかけても儲からなくなったら終わりです。ユーザーは「これをやって何になるんだろう」と思ったら、そのゲームから卒業してしまいます。「あれ、この人のことなんでそんなに好きだったんだろう」という恋愛のアレと一緒です。ソシャゲではこの感覚をユーザーに抱かれないよう、夢を売っていく必要があると思います。

 

――最後に、ソシャゲの未来はどうなると考えていますか?

 ソシャゲの定義に議論はありますが、リッチ化していくことは間違いないと思います。ビジュアル面、サウンド面、ゲームの複雑性などあらゆる面で進行していくでしょう。怪盗ロワイヤルの頃は、インターネット黎明期のブラウザゲーみたいだったんですが、最近のソシャゲはボイス付き、演出で魅せる、ストーリーをしっかり作るというような形で、かなりコストをかけています。次は例えば、クリックするだけではなくユーザーの技量そのものが問われるゲームだとか、MMDみたいな3D化だとか、AR/VR/MRを使ったリアル空間との連動だとかでリッチ化する方向性が考えられます。

 

 あくまでゲームプレイヤーの仮説だとして聞いて欲しいのですが、これはコンシューマゲーム業界が通った道で、スーファミからPS3に至るまで、延々とリッチコンテンツを進んできました。結果何が起こったか。難しすぎる/敷居の高いゲームが大量生産されることでカジュアルなユーザーは離れ、コアなゲーマーが残っていき、ゲーム人口の減少を引き起こしました。そればかりか、製作コストの上昇はタイトルが不発だった時の損失を大きくし、悪い意味での参入障壁を作り、結果としてチャレンジングなゲームがあまり作られなくなってしまいました。

 

 こうしたゲーム人口やゲーム製作人口の減少、面白いゲームの減少は誰も望みません。業界として競争を自然体で進めていくと理屈としてはこうしたコンシューマゲームに起こった現象が再び起こることも考えられるので、対策は今のうちに講じておかないと……と思うのですが余計なお世話ですね。まあ、コナミ・スクエニ・バンナムあたりはソシャゲが収益基盤の一つになるまで成長しているので、この収益を使ってもっとチャレンジングなコンシューマゲームを作って頂けると一ゲーマーとしては嬉しい限りです。

 

 

 

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kk

kk

ライター。漫画と映画と賭け事が好きです。ねとらぼもよろしくお願いします。

 

▼活動履歴▼

2004年 はてな民になる
2005年 あずまん読者になる
2007年 ニコ動と2chに課金。ポーカーも教わる
2010年 ニコ生にはまる
2011年 ねとぽよに参加。主にソシャゲ系の記事書いてます