前回の話→第一幕(六)を読む。

(これまでの内容を読む→目次

 

 

 

好きだったマンガは黒子のバスケ。

今熱いのは進撃の巨人。

よく見る映画は主にミュージカル。

 

好きだった推理小説は

夢水清四郎シリーズと、パスワードシリーズ(※青い鳥文庫)

……ミステリー小説、もっと読んどきゃよかった!!!

 

犯罪心理とかトリックとか知らないけど

「犯人は必ず現場に戻ってくる」

 

って、コナンか水谷豊か古畑任三郎が言ってた気がする

いやみんな言ってた気がする。

 

から、戻ってきたよ火事現場に。

江戸は火事が起こっても建物の建て直しスピードが早い。

もう再建がはじまってる。

大工らはカンナで木を削り、足場を組んでするする登る。

滑ったりしないのかな。

彼らは踵の所がない、子供用みたいな小さい草履を履いていた。

 

片足草履の放火魔。

 

なんで片足?

 

両足で着地しろよ。

そういえば朝里ちゃん、どんな靴履いてたっけ。

 

ダチョウに乗って片足だけ着地、着火!

再びダチョウに飛び乗り逃走。

 

アリ、かも。

足跡が片方しかないってことは、

もう片方は宙に浮いていたってことで。

その周囲に足跡が残ってないってことは乗り物にのってたってことじゃ?

 

朝里ちゃん。

あたしに優しくしてくれたのは、

自分の代わりに疑われてる女の子を身近に置いておきたかったから、とか?

 

人  間  不  信  。

 

大工がカーン! と釘を打つ音と、

江戸で時刻を知らせる鐘が重なった。

 

再建の進む建物の裏側に人影。

こっそり覗けば、小さい子供がふたりうずくまっていた。

 

四歳くらいの女の子が道路に座り込み、家が建つのをじっと見ている。

傍らにいる男の子は、お兄ちゃんだろうか。

これから二人で生きてくんだからな、と女の子を励ましていた。

女の子が、おうち、と呟いた。

 

何もしないことも、何かすることも憚られた。

なんであたし、傷ついてんの。

傷ついてることにさえ罪悪感。

 

じっと二人の子供を見守っていると、

きゅうん、と愛らしい鳴き声がした。

 

ダチョウだ。

 

「ほら、これ食べな」

 

朝里ちゃんは、笹の葉に包まれた稲荷寿司を手渡し、貪り食う子供の頭を撫でると

自分の簪を外し、お兄さんの手に握らせた。

 

「これ、質に入れたらお金がもらえるから。

生きていくには金がいる。金は天下の回りもの。

貰って返してまた貰って、そうやってぐるぐるやってくんだよ」

 

貰ってじゃなくて、奪ってるじゃん?

 

朝里ちゃんは、当面はこれでしのぎなよ、と泥棒カバンから小判を片手一杯に取り出して

手ぬぐいでつつむと、女の子の懐に仕舞った。

放火魔が、朝里ちゃんなはずない。

泥棒だけど、怪しいけど、朝里ちゃんはきっとそんなことしない。

兄妹は屈託ない顔で、ありがとう、と微笑んだ。

澄んだ目。

人間不信、とか言ってるあたしにはできない目……っ!!!

ぐぬぬ。

 

 

信じる。

朝里ちゃんは犯人じゃない。

 

じゃあ誰よ。

 

片足草履の放火魔は。

 

現場の正面に戻って、土の上に残る小判型の凹みを眺めた。

 

なんで片足?

わざわざ跡を残す必要もないだろに。

 

 

な、ぜ、 にゃん?

 

~にわかミステリー探偵データベース~

 

①犯人のキモチになって考えてみる。

 

あたしが犯人だったら。

 

放火したいってなったら、夜にこそっと柱に火をつけて逃げるね!

わざわざ跡残すなんて面倒なマネ、まずしないね。

だって証拠残してもメリットって……

 

あ、連続事件にみせかけるためか。

 

犯人はナルシストと見た。

コレ、俺がやったしw とか言いたいんでしょ。

 

 

……うん。

(何の解決にもつながりません)

 

 

 

 

 

煮詰まったときは散歩だ、散歩。

 

前回の火災現場を後にして、この順序で行けば、つぎに狙われそうな寺へ向かう。

張り込み調査とか、効果的かもしれない。け、ど、

大変そ………。

江戸の町は、一見すると超平和。

悪人が潜んでいるなんて思えない。

東京より広い道幅、八百屋で店番をしてる親父は居眠りしてるし

米問屋では軒先で囲碁を打ち

綺麗な女の人がお茶屋の前に立ち、あんみついかがぁ♪ と歌っている。

呉服問屋の前を通った時、後ろから、迷子にでもなったか? と声をかけられた。

ちょっとアルトで強い口調。

朝里ちゃんの声だ。

 

慌てて振り返ると、そこにいたのは歌舞伎役者の乱十郎だった。

朝里ちゃんの姿を探してきょろきょろすると、乱十郎は、ちょっと悪戯をねェ、とくすくす笑った。

 

「声真似が得意でさァ

どんな人の声でもだせるのよ」

 

「変装は? 姿もがらっと変えられるの?」

 

「声ならそっくりに出せるけど、顔は、どうしようもないねェ」

 

びっくりした、と両手で目を擦った。

乱十郎に、江戸散策かィ? と尋ねられたので、真犯人探しを! と答えた。

 

「実悪は誰か、検討ついてる?」

乱十郎は、火事があった日外に出てないんだから、犯人じゃないはず。

おずおずと、朝里ちゃんを疑ってたことを相談しようとしたら、薄っぺらい着物の若い衆が駆け寄ってきて、乱十郎を呼び止めた。

 

「あの、俺のとんぼ、綺麗にできてるか見てくれませんか! たくさん練習したんです!

こないだの水曜日に見てくれるって約束してたのに稽古場にきてくんないし、おとといだって……

こんどこそお願いしますよ、明日、稽古場に顔出してくれませんか?」

 

「悪い、明日も用事がはいっててさァ」

 

……ん?

 

こないだの水曜日。

おととい。

 

それ、火事のあった日じゃん。

稽古場にいたの、嘘だったんだ???

 

アリバイ、崩れたーーー!!!!

 

おもわず拳を握る!

(まだだ……まだ笑うな……)

てか、これまだ犯人だって決め手じゃないからね?

 

嘘ついた=ブラック、じゃない、けどグレーなのは間違いない。

勝利には遠くても、進展があると少しハッピー。

片想いしてる女子みたい。わろりん。

 

歌舞伎や乱十郎のことなら、恭之介に尋ねるのがいいかもしれない。

恭之介も放火魔探しをしているから、この話をしたら興味を持つだろう。

あたしは乱十郎と別れると手習い所に戻った。

手習い所では、丁度、教え子たちを帰した後のようで、恭之介は教室の掃除をしていた。

畳の上に使い古したお茶の葉を撒いてから箒で掃いている。

お茶の葉は、埃を吸着する役割があるらしい。

 

誰もいない教室の掃除を、一人でやってる先生の指先には大きなササクレができていた。

少し中腰だ。部屋で鳴るのは箒と畳みの擦れる音だけ。

まだ日は暮れていないのに、教室が薄暗く見えた。

 

手伝いましょうか、と申し出て、箒を借りると隣の部屋に移動した。

手習い所って、どんなことを教えてるんだろう。

江戸時代の教科書とか、見てみたい。

机の中に勝手に手を突っ込んでみた。

 

からっぽ。

 

教科書

ノート

筆記用具

 

何もない。

 

みんな、置き勉とかしないの?

細長い机と向き合うように置かれているのが先生の机っぽい。

今度はそっちの引出を覗いた。

一番下から開けてみる。

 

丸められた紙を見つけた。

 

そろりと開けば、それは江戸の地図だった。

所々にバツ印がついている。

この地図、あたしが盗んだ地図と同じだ。

 

ただ、縮尺がちょっと違う。

 

メルカトル?

 

違うか。

 

でもまあ、そんな感じ。

他の何かに基準を合わせて書かれた地図みたいだ。

バツ印は、やっぱり寺社の上につけられている。

放火された寺社に印をつけたものらしい。

その印は地図上に絵を描くように綺麗な円になっていた。

そして、その中心にあるのが。

 

伯蔵主手習い所

 

地図を放り込み、引出をしめた。

障子の向こうからは、規則正しく箒を動かす音が聞こえる。

 

 

ザッ

 

ザッ

 

ザッ

 

 

ザッ

 

 

 

ザザッ

 

 

――あの、

それほど汚れてないですよこの部屋。

 

 

「掃除はね、汚れてからするんじゃなく、汚さないためにするんだよ」

さすが先生。

もっともなことを言う。

 

論理とか証明とか三段論法とか、得意なタイプと見た。

あたしは、地図をしまった引出しが、ちゃんとしまってるかチェックした。

 

……この地図だって、ちょっと変だな? ってだけで、何の証拠にもなってない。

でも、なんでこんなもの持ってるの? おかしい。

放火現場を繋いだ円の中心がココ、とか、疑うしかないでしょ。

まだ、ぜ っ た い  に お ま え だ 、って言いきれる範疇じゃないけど。

確実に、犯人だって確証得るためには。

 

 

~にわかミステリー探偵データベース~

 

②現場を押さえる

 

やっぱり、これしかないっ。

 

次の放火が何日の何時かはわからないけど

そこは根性で。

ずーっと張り込んでれば、いつか放火するでしょ。

その時に、全力で捕まえたらいんだよね?

張り込み、するかっ。

 

 

 

 

(明日に続く →第一幕(八)を読む

 

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