こんにちは、ネット“かわいい”をこよなく愛するりちゃです。

 

早速ですがみなさん、「マヂヤミ彼女」というゲームアプリをご存知でしょうか?

知らない方はいますぐAppStoreからDLしてみましょう。

 

 

613783321120

 いきなり禍々しくスタート画面が登場

 

 

※以下の記事は「マヂヤミ彼女」のネタバレを含みますので未プレイの方はご注意くださいませ。

 

 

このゲームは、早い人だと20分程度で終えてしまうこともあるそうです。もちろん、それ以上に時間がかかる人も多くいると思いますが、そんな人でも睡眠不足必至の面白さです。

 

さて、この「マヂヤミ彼女」ですが、一言でいうと、メンヘラの彼女とその彼氏にまつわる”謎解き脱出ゲーム”です。私は、仕事でヒアリングした女子大生から、たまたまこのアプリを教えてもらいました。

 

Twitterで検索してみると、10代から20代前半の女子を中心に話題となっています。口コミの影響もあってか、8月のリリースからすぐに30万DLを突破しています。ゲームやプロモーションとしての完成度の高さについては、すでに色々なメディアで言及されています。

 

今回は、この話題のアプリ「マヂヤミ彼女」を通じて、最近の恋愛におけるスマホ事情を探っていこうと思います。

 

 

勝因はメンヘラのリアリティ ~マヂヤミ彼女ってどんなゲームなの?~

この「マヂヤミ彼女」の面白さは、大きく二つあります。それは、以下の2点にかなりこだわって作られていることです。

 

  • ストーリーとゲームの展開が密接に連動していること

  • スマホの使い方がリアルに再現されていること

 

最近は、脱出のために必要な謎解きだけが目的化したゲームが増えています。しかし、このゲームは名前のインパクトに反して、上の2点が大変によく作りこまれていて、それが単に脱出ゲーム好きのユーザーにとどまらない幅広い人気につながっているのではないでしょうか。

 

まず、「マヂヤミ彼女」がどのようなゲームかを簡単に説明します。

 

このゲームは、情報収集をする前半と、閉じ込められた部屋から脱出する後半の二つに分かれています

 

まず前半は、彼女・リナの視点で話が進みます。リナはメンヘラ気味な女の子です。プレイヤーは一緒に旅行中の彼氏の浮気を疑っているリナになりきり、彼氏が温泉に入っている間、浮気の証拠を探すために全力で彼氏のスマホを覗き見します。

 

puroroguキャプチャ

彼氏のスマホから浮気の証拠を見つけ出していく。

 

スマホの画面上に彼氏のスマホが再現されているので、本当に覗き見しているようなリアリティがあります。特に、彼氏のメールやLIME(LINEではない)を見る背徳感は中々なものが……。しかし、それ以上にヤバいのは、スマホを覗きこむことでわかる、リナのメンヘラな所業たち。既読無視にガンギレ、元カノに嫉妬、一方的なLIME、etc……思わず背筋が震えました。

 

着信履歴、メッセージでのやり取り、メモ、LIME、写真、電話帳、etc……実際に写真を撮ったり、音楽を聴くこともできる

 

しかし、ここで話は一転。温泉から戻ってきた彼氏に、スマホを触っている現場を見つかってしまいます。そうして始まるゲームの後半は彼氏が”とある一室”に閉じ込められ、彼氏の視点になってスマホを駆使しての脱出が始まります。メンヘラ、怖い。

 

guguruキャプチャguguru2キャプチャ

Guguruをして調べたりします…ネットに慣れてる人ほど、あるあるネタに笑うはず。

 

非常にドキドキする展開のあとには、エンディングで待ち受ける事実に驚くはずです。

 

果たして、彼は部屋から抜け出せるのか。

一体どうして閉じ込められたのだろうか。

ミオとの関係はどうなったのか。

 

――気になる方は、「マヂヤミ彼女」をDLしてみてください。他の脱出ゲームでは味わえないような、キャラクターにのめり込ませるようなストーリーとゲームシステムの連動を体験できます。

 

 

なぜLINEは最強「メンヘラ製造機」なのか? ~UIから分析してみた~

 

さて、「マヂヤミ彼女」の最大の魅力は、「スマホの使い方の圧倒的リアルさ」にあると思います。たとえば、彼氏を閉じ込められた部屋から救い出してくれるのは、ネットの向こう側の、顔も知らない誰かです。LINEの使い方も「メンヘラじゃん」と言うだけではすまされない人もいるかもしれません。制作者も、この点にはこだわって、リサーチを繰り返してきたそうです。

 

 

【個人開発ゲームを斬る】『マヂヤミ彼女』本年度最高の謎解きゲーム

Q3.開発期間はどれぐらいですか? 苦労した点は?
A3.大体ですが、企画とリサーチで半月、制作で1ヵ月ぐらいですね。
いちばん苦労したのは、リサーチですかね。
10代、20代の人たちに“リアル”だと思ってほしかったので、かなりていねいにリサーチを行いました。

(上の記事より引用)

 

このアプリは、メンヘラとインターネットをめぐる様々な問題を考えさせてくれるのですが、LINEの使い方に関しては、本当にリアリティがあります。

 

ちなみに私は、LINEの「既読」ほどメンヘラを生む機能は、webサービスやアプリにもいまだかつてなかったと思っています。

 

思い返してみれば、好きな人と携帯でメールをしていた時代、

 

「返信こないなー、まだ見てないのかな? いやそんなに気にしたくないけど……

一応、新着センター問い合わせ

 

とやきもきしたりしていましたが、今思えばかわいいものです。

そういえば、「返信が来ないのにmixiのログインが5分以内」という問題もありましたね。

 

しかしそれらと比較してもLINEは一線超えています。一つには、よく言われるように、瞬時に既読と表示される、あのスピードも理由でしょう。PC、携帯、スマホとテクノロジーが進化していく中で、自分の知らない相手の空白時間への不安は、更に増しているのではないでしょうか。元から人一倍かまわれたい承認欲求が強く、それが故、人の態度に一喜一憂しがちなメンヘラ予備軍にとっては、LINEは残酷なツールなのかもしれません。

 

 

Twitter上で出回っている「LINEの既読無視をアンパンマンの世界で例えてみた」画像。

 

 

しかし、この問題についてはUIの視点からも、一つ理由を指摘できます。

 

それは、携帯メールとの比較で理解することができます。そうそう、LINEが普及する前は、好きな人とのやりとりは主に携帯メールでしたよね。

 

 

 キャプチャ

今や受信ボックスはダイレクトメールばかりに……ねっとぽよくの協力を得て再現しました w

 

キャプチャ 

メンヘラ風メールも再現してみた

 

この携帯メールの受信ボックスは、「スタック(積み重ね)型UI」です。送信者の名前が時間順に並ぶのですが、「自分」の存在が全く見えない作りなのです。

それに対して、LINEの「会話型UI」は、相手と自分が1つの画面の中で実際に会話しているように錯覚する仕組みになっています。このことで、他愛もないような気軽なおしゃべりがスマホ上に再現され、親近感が生まれて、広く人々に根付くようになりました。

 

 

キャプチャ

注:このスクショのために”恋人なりきり”で会話しております。

 

 

しかし、この会話型UIは、リナとゆうたのように、会話のバランスが崩れている状況に対して脆弱です。リアクションのない彼氏に対して一方的に話しつづける吹き出しの連続、それに、ひとりでテンションを浮き沈みさせる様子は、一種の狂気すら感じさせます。

 

LINEキャプチャLINE2キャプチャ

 一方的すぎる……メンヘラ怖い。

 

 

LINE3キャプチャ

メンヘラ、あるある。

 

 

このように、会話型UIは、二人の関係のアンバランスさが手に取るように分かってしまうのです。

 

「マヂヤミ彼女」では、このリアリティ溢れるメンヘラの狂気こそが、ゲームを進行させていきます。後半の脱出する謎解きの面白さやこだわりももちろんありますが、”スマホ”を通じた”メンヘラ”のリアルな描写こそが、魅力です。スマホをのぞき見る中で、彼氏とやたらマメにLINEをしている元カノに不安になったり、着信履歴の自分と元カノの量を見比べてしまったり、カレンダーを見て二人の記念日を思い出したり……プレイヤーが「あるある!!!」と共感せざるをえないような生々しすぎる設定こそが、ストーリーにより没入させ、緊張感を抱かせるのではないでしょうか。

 

既読のつらみと、ハッシュタグのつながり

 

さて、ここまで読んできた人の中には、なんだか暗い気持ちになってしまった人もいるかもしれません。そんな方に、最後に一つだけ「マヂヤミ彼女」を通じて私が見て、感動した光景をお伝えします。そう、捨てる神あれば拾う神あり――LINEの残酷さに傷ついたメンヘラ女子を救うのもまた、スマホやネットなのです。

 

なんと、この「マヂヤミ彼女」はゲームで完結しません。

 

キャプチャ

ミオヤマザキ公式HP

 

 

実はこのゲーム、「ミオヤマザキ」というバンドのプロモーションの一環として作られたアプリなのです。そして、ゲームを最後までクリアすると、PVが流れ、「ミオヤマザキ」のHPやTwitter、Facebookへ誘導するページが登場します。中でも、ターゲットである10-20代の女性に盛んに使われているTwitterが交流のメインとされているようです。

 

さて、Twitterで「ミオヤマザキ」のアカウントをよくよく見てみると、「ミオヤマザキ」のファンは「ミオラー」と呼ばれ、Twitterのハッシュタグを使ってフォローし合ったり、親密な交流をしているようです。

 

#ミオヤマザキ」「#ミオラー」というハッシュタグでつながるファンたち

 

また、バンドの公式アカウントである@mio_yamazaki も、1万人近くのフォロワーがいながら、ファン一人ひとりのつぶやきに、友達の相談に乗るように小まめにリプライを飛ばしたり、感謝や愛を伝えたりしていて、「マヂヤミ彼女」から受ける”メンヘラ”のイメージとは対照的でした。

 

いわゆる「公式アカウント」らしくなく、テンションの浮き沈みがあったり、歌詞のようなつぶやきをしたりする@mio_yamazaki ですが、最近、こんなつぶやきがありました。

 

 

既読の残酷さに突き落とされたあとに、ハッシュタグのつながりに救われる――このつぶやきが、ネットへのラブレターのように思えたのは、私の考えすぎでしょうか。

 

ちなみに、「ミオヤマザキ」は特徴的な用語がいくつかあり、HPに掲載されています。中でもいちばん使われているのが「スレ」です。ライブを「スレ」と呼び、ライブが決まることを「スレが立った」と呼んだりしているとか。「マヂヤミ彼女」はゲームの面白さだけでなく、親しい人たちと青春を過ごせるようなバンドとの出会いにも繋がっているようです。使い古された「スレ」という言葉が、なんだかロマンチックに見えてきました。

いつでもどこでも、つながりが途絶えることのないスマホ時代に、残酷さと救いを感じさせてくれた「マヂヤミ彼女」と「ミオヤマザキ」。ネットやスマホにどっぷり浸ってきた一人として、スマホやネットへの愛が詰まった”ラブレター”のようなこのゲームにときめきました。

 

もうすぐAndroid版もリリースされるそうです。

 

楽しみにしています!

 

 

 

余談

 

ミオヤマザキに「LINEの歌」というのがあるそうなんだけど、ライブでしか演奏されていないみたいで、全貌がわかりません。

 

聴きたい。

 

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
りちゃ

りちゃ

“かわいい”文化とwebの狭間でゆらゆら生きています。ねとぽよで忘れていたインターネッツに出会いノスタルジー。本業はサービスやアプリを作る最後の昭和生まれ。