小説版『カゲロウデイズ』は分かりやすくて分かりづらいと毎回思います。歌詞は率直に伝わってくるのに、その奥に隠れたことが分からなくて、悪戦苦闘しながら小説を読んでいます。きっともう5回は読みました。それでも謎だらけで何度読んでも飽きないです。毎回想像や期待を超える話になっていくのが、飽きない理由なのかもしれません。

 

 原曲の「カゲロウデイズ」はちょうど2年前に投稿されました。当時からニコニコ動画のランキング上位を保持し、学校の同級生でも「聞いていない人はいないだろう」と思うほどの人気でした。今では「カゲロウプロジェクト」という一つの楽曲集として愛されています。

 

 

 

「カゲロウプロジェクト」はそれぞれの曲が一連のストーリーになっています。

 一瞬で心を奪われるサウンドや歌詞で、伝わりやすいのにどこか謎めいているような新鮮な楽曲集です。曲のジャンルも、じん(自然の敵P)が一人で作ったとは思えないほど広く、バラードからポップなアイドルソングまであります。しづ、わんにゃんぷーが手がけるMVも曲と見事にマッチしていて、まるでアニメを見ているようです。しづの描くMVはとても新鮮で迫力があって、特徴的な歌詞を存分に引き出すようなMVだと思います。

 

「カゲロウプロジェクト」の楽曲シリーズ自体は、夏の終わりを少しずつ告げる冷たい風とともに、最終話となる「サマータイムレコード」が投稿され、今年9月に幕を閉じました。

「目」に特殊な能力を持った仲間達が繰り広げるストーリーが愛され、「カゲロウプロジェクト」の新曲が投稿されるたびに、「描いてみた」「歌ってみた」カテゴリーの新着動画がその曲で埋めつくされました。特に「歌ってみた」はお祭りのようになって、しばらくその曲がカテゴリーランキングから消えることはありませんでした。まるで「カゲロウプロジェクト」自体が、人々の「目を集める」能力を持っているようだと、私は思いました。

 

『カゲロウデイズ』は、私の夢が描かれた小説です。

カゲロウデイズIV -the missing children- (KCG文庫)

 

『カゲロウデイズ』はそれほど大人気だった「カゲロウプロジェクト」の小説です。「メカクシ団」を取りまく能力者たちが、目も眩むような真夏日に起きた事件「カゲロウデイズ」の謎へと迫っていく物語です。

 この本を読んでいると、自分が少し幼かった頃を思い出します。「人よりも特別になりたい。何か人とは違うことがしたい」と、たくさんの習い事をやったのを覚えています。でも本当は、ただ能力を得られるだけではなく、何か暗い影や誰にも言えない事情を抱えている、ミステリアスな子にもなりたかったです。だけど、やっぱり人間らしい人間として、私は高校生になりました。だから、こんなにも私はメカクシ団に憧れるんだろうなと思います。『カゲロウデイズ』は、私の夢が描かれた小説です。

 楽曲が投稿されていた頃は、それぞれみんなが「カゲロウデイズ」の物語を作り上げて、それぞれの形で「サマータイムレコード」まで、たどり着いていました。その答え合わせが小説なんだと思います。その人が楽曲を視聴して考えたことを、その人の周りのコミュニティでより深いものにして、小説で答え合わせをする。それから、またどうなるのかを考え直す。それがカゲロウファンの、「カゲロウプロジェクト」の楽しみ方の一つなのだと思います(編注:人気の秘密はこちらの記事にも解説しています)

 

カゲロウデイズ -in a daze- (KCG文庫)
 1巻『カゲロウデイズ -in a daze-』では、「モモ」がメインです。彼女の入団を通して各キャラクターが紹介されて、メカクシ団とは何なのかが明らかになりました。ショッピングセンターで強盗事件が起き、モモの兄「シンタロー」と、シンタローのパソコンに住み込んでいる電脳少女「エネ」が巻き込まれてしまいます。そこでみんなが能力を発揮して、人質を開放したのです。メカクシ団の活動やチームワークが描かれる一冊です。

 

カゲロウデイズII -a headphone actor- (KCG文庫)

 2巻『カゲロウデイズⅡ -a headphone actor-』は、貴音(エネ)と遥(コノハ)がメインです。1巻より過去の物語で、まだ貴音が「エネ」に、遥が「コノハ」になっていなかった時の、高校の文化祭の風景が描かれます。

 

カゲロウデイズIII -the children reason- (KCG文庫)

 3巻『カゲロウデイズⅢ -the children reason-』ではついに、楽曲「カゲロウデイズ」と物語がリンクします。「ヒビヤ」は、楽曲同様に「ヒヨリ」が死んでしまうのを助けたくて、何度も同じ日をループしています。コノハがメカクシ団に入団し、ヒヨリ救出に協力するようになります。その一方で「カノ」が、「目を欺く」能力でモモに化けて現れたり、シンタローの同級生アヤノに化けたり、アヤノのお母さん・アヤカのお墓を訪れたりと、不可解な行動を取るようになります。

 

ツキヒコに恋するアザミが可愛い!

  そして4巻『カゲロウデイズⅣ -the missing children-』では、今後の物語の鍵を握るだろう「アザミ」の過去が描かれました。メカクシ団はアザミの日記を見つけ、その過去の文章からアザミが「カゲロウデイズ」の主犯だったと気づくのです。

  4巻を読むまで、私はアザミのことが好きになれませんでした。その名の通りの化物で、多くの知識があるのに感情のない存在だと思っていました。「カゲロウデイズ」の中心にいるのに、なんて残酷なのだと思っていました。しかし、日記を読むと、その誤解が申し訳なくなるほど、アザミはただ恋をしている女の子でした。彼女は人間と触れ合うことで、少しずつ感情を覚えていきます。なかでもツキヒコと出会って覚えた「愛」という感情は、アザミを本物の人間のように成長させました。

 

寂しい。

寂しくてしょうがない。離れるのは嫌だ。

あぁ、何故私はあの時あんなことを言ってしまったのだろう。馬鹿だ。どうしようもない大馬鹿だ。

「……ごめん」

ツキヒコは絞り出すようにそう言った。

解っていたことだ。何も不思議なことはない、至極当然のことだ。

……それでも、何処かで期待してしまっていた自分が酷く恥ずかしく思えて、どうしようもなかった。

さぁ、早く家を完成させてもらわねば。

とっとと消えてもらえば、私だって一人きりの……

「僕の嫁になってくれないか」

(本文より)

 

 愛を知ってからのアザミは、ただただ乙女です。今までずっと一人で生きてきたはずのアザミが、ツキヒコが一晩いなかっただけで、「寂しい」と感じて子供みたいに泣きじゃくる。

 それでも「寂しかった」と素直に伝えられないアザミが可愛くてたまりませんでした。今まで人間に感謝することなどなかったアザミが、ツキヒコに「ありがとう」と伝えられた時は、「成長したなあ……」と声に出してしまったほどです。頑固で意地っ張りで強がってしまうそんなアザミが、自分と少し重なる気がして、4巻を読み終えてからはすっかりアザミファンです。

 

とてもとても愛されている、人見知りドジっ子癒し系マリー

 この本では、そうしたアザミの物語がある一方で、メカクシ団が「カゲロウデイズ」の謎へと迫る話もリンクして行きます。楽曲「カゲロウデイズ」のメインキャラクター「ヒビヤ」も登場し、メカクシ団が大体一つにまとまったところで、「キド」と「シンタロー」が中心となって、メカクシ団の能力の真相に迫ろうとするのです。

  メデューサの娘・マリーの話を聞き、何らかの鍵になると考えた彼らは、マリーの家を訪ねます。マリーは私のなかで今、注目度ナンバーワンのキャラクターです。人見知りドジっ子癒し系キャラとして、私にとてもとても愛されているマリーは、「カゲロウデイズ」では凄く重要な人物なのです。マリーについて友達と話すと、時間を忘れるほど議論が白熱します。

 実は、他のメンバーは死後に「カゲロウデイズ」に接触して、生き返るときに能力を得ているのですが、マリーだけは生まれた時から「目を合わせる能力」をもっています。そのことに私も気づき、マリーは謎の存在になっています。4巻に至って、やっとメカクシ団はアザミの正体に気づき、マリーの能力や正体が分かりますが、それでもマリーの謎はまだまだあります。本当の能力は何か、なぜループしているのか、そして「アウターサイエンス」でクロハがマリーに言う「ああ、君に宿っちゃったんでしょう?」は、どういう意味か。

 

 

 

 メカクシ団が真実にもっと近づいた時、マリーはどうなってしまうのか、とても気になります。

 私は、マリーが大好きです。4巻でシンタローの携帯の充電が切れたとき、エネがみんなと会話できないことに気づいたマリーは、充電器を探します。その時にマリーは「一人ぼっちは寂しいもん。きっとあの子もそう」と言うんです。こんなにも心優しくて癒される女の子なのに、これから明かされるだろう本当の能力で、今のマリーとのギャップがどんな風に出るのか楽しみです。

 でもマリーが「カゲロウデイズ」にとってどんな存在だったとしても、人の気持ちを誰よりも考えられる、マリーのいいところは変わらないでいて欲しいです。

 

メカクシ団の団員は、全員がどこかアヤノに似ています

 そんな4巻は、彼らとは行動を別にしていた「エネ」が、メカクシ団の元団長で自殺しているはずのアヤノに、なぜかメールを送って終わります。

 アヤノはメカクシ団を作り上げた張本人です。”団員ナンバー0”という存在でしょうか。すごく優しくて、自分のことより周りのことを考えられる人です。そんなアヤノが作ったメカクシ団だからこそ、団員たちも誰かを守ることに、きっとここまで本気になれるのだと思います。

 

 

 

 

 4巻では、コノハがシンタローを庇って怪我を負います。「目が醒める能力」の持ち主で、いくら体が丈夫だとしても、死にそうになるほどの大怪我を誰かのために負えるでしょうか? きっと私には無理です。また、この巻ではキドやシンタローがメインでしたが、その裏ではモモたちもヒビヤを助けるために活動しています。

 メカクシ団の団員は、全員がどこかアヤノに似ています。彼らが「カゲロウデイズ」を攻略したいのは、自分の能力の代償にいなくなった、愛する人たちを助けるためなのだと思います。メカクシ団を知れば知るほど、そんなみんなのようになりたいと私も思います。抱えているものの大きさは違いますが、団員たちの態度だったり考え方だったりに共感してしまいます。

 

 メカクシ団は、私の憧れです。同世代の人達が集まり、仲間たちを助ける姿は純粋にかっこいいと思います。それぞれに抱えているものや守りたいもの、達成したい何かがあるのに、それは一人ではできないから、仲間と協力している。そんなメカクシ団に、私も入団したいくらいです。

 自分のことよりも人のことを考えられる、そんな皆のようになりたいと、メカクシ団を知れば知るほど、私は願います。

 

 

 

 

 

※そして今回は、呉羽さんの書評に加えて、音比古センセイにも、カゲプロの魅力を「書いて」頂きました!


いい年した社会人ですが、カゲプロ夢小説(カノ夢/微エロ)を書いてみました。

 

ねとぽよでは連載小説「妖式コンゲーム」や、「ハル夢、微甘」な『free!』夢小説を書かれています。

苦手な人は回れ右してヤフーへ(!)、平気な人は奥までのぞいて見てください。

 

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呉羽

呉羽

ようやく中学生卒業した初々しさ弾けるJK。 今流行りのニコニコ動画と少女漫画をこよなく愛してます。

ニコ生主やってたり人狼プレーヤーだったりします。好奇心のみ飛び抜けて旺盛です。だけどやっぱりただの15歳。