今回のインタビューでは、全く無名の人を取材します。彼は、小説投稿サイト「小説家になろう」で活躍している書き手ですが、「なろう」内でも別に有名人ではありません。それどころか、「なろう」の代表として登場するには、作風がまったく「なろう」的ではありません。サラリーマンをしながらネットで小説を書いている、格ゲー好きな30代半ばのオタクのおっさんです。

 ねとぽよは、日本のインターネット文化を掘り起こしていくのを、活動の一つの目的に据えています。したがって、通常のニュースサイトのように、必ずしも強い固有名詞を持つ対象ばかりに焦点を当てる必要はないと考えています。日本のネットを考える上で面白い切り口になるかどうか――それだけを重視しています。

 今回インタビューする本宮さんは、そうした視点の切り口にぴったりの人だと考えました。以前の記事で僕が「ウェブ小説に期待していたような理想像」と読んだ、格闘ゲーム「ストリートファイターIII 3rd STRIKE」についての小説を書いた人です。

 

「小説家になろう」で何を読めばいいかわからない人へ送る 超極私的オススメ作品6選

「俺より強いあの娘を殴りに行く」

(※ クオリティの高い作品なので、ぜひ先に読んでみてください)

 

 世間ではマイナーだけど、その世界の中ではとても価値のある題材。小さな世界でしか通じないかもしれないけど、作者のこだわりが込められた”わかる人にはわかる”作品。「ネットでの人気の獲り方」が可視化してしまった時代に、何をモチベーションにこの作品が書かれたのか。とても興味がわきました。

 実際に連絡をとってみると、本宮さんは、エンターテインメントの教養にあふれた、とても面白い”おっさん”でした。「なろう」で流行るジャンクなコンテンツを、disるでもなく、迎合するでもなく面白がり、でも一方で自分なりの立場は守り続けていました。その姿勢を僕は、趣味人が見習うべきものだと感じました。日本のインターネット文化の豊穣さは、一体どんな人が支えているのか――その一端が見えるインタビューです。

 

「なろう」に書き始めたきっかけ

 

――今回はよろしくお願いします。

本宮 こちらこそお願いします。取材とかなかなかないですからね(笑)。先日の記事もTwitterで友人からURLが送られてきて、「この本宮ってオマエなの?」と言われて、初めて気づいたんです。

 

――本当に好きな作品だったので、一度作者のお話は聞きたかったんですよ。

本宮 昔から小説を書いていたわけではないんです。

 実は30代半ばのいい年なのですが(笑)、演劇をやっています。大学時代から10年以上やっていて、18歳の頃から脚本を書いてきました。ジャンルはいろいろです。他には、その伝手で同人ドラマCDの台本を引き受けたりして、色々なものを書いてきました。

 実は、1年前にとある編集者に小説を依頼されたんですね。でも、小説を書いた経験はないから断ったら、「いや、書いてくれ」と。そこで、1年か2年かけて作品を書いてみて、自分に小説が書けて、世の中にその需要があるかがわかったら、連絡させてくれと言ってあるんです。

 小劇場の周りには、今風に言うと「脚本家クラスタ」みたいな集団がいるんです。脚本家というのは食える職業ではなくて……やはり、宮藤官九郎や三谷幸喜にはなかなかなれませんから。でも、それでも草野球の全国大会に出てやろうぐらいの熱い志でやっているわけです。そこで周囲が「食べるのならせめて文筆で……」と小説に応募している姿をずっと見てきたんですね。そう考えると、「望んでもなれない人がいるのに、自分は向こうから話が来たのだから、幸運だな。よし、書こう」と。

 

――作者ページを見ていると、この前にまず1作書かれて、2作目がこの作品のようですね。

本宮 そうですね。前の作品は、まだ出していません。実は、「なろう」に投稿したのは、いまどんな作品がウケているかを知りたかったからです。お仕事として、「年上のお姉さんが出てきて、催眠術をかけてあげるから……」みたいなドラマはいくらでも書けるんですよ(笑)。

 でも、小説って出版されない可能性もあるし、自分が楽しめなかったら書けないです。それでランキングを調べてみて、これなら俺も書けるというのを見つけて、「よし書くぞ」と。

 

――そのときに調べた作品は?

本宮 「異世界何でも屋奮戦記」とか「無職転生」とかですね。それを読んだときに、彼らがやっているのは創作とコミュニケーションの中間――つまり、みんなで作り上げていくコンテンツだと思ったんです。

 オタク界隈に詳しい知人に、「まおゆう」を勧められたことがあったんです。そのときに彼が言ったのは、「作品自体に、30過ぎた男が感銘を受けるものはあまりない。しかし、そのムーブメントのあり方が面白い」ということでした。「みんなで作品を、わっしょいわっしょいと盛り上げて、名作にしようとしている。文化祭のような盛り上がりで、自分も入っていきたくなるんだ」と。読んでみて、確かにそういう感想を持ちました。

 

フリーライフ ~異世界何でも屋奮闘記~ (フリーダムノベル)

まおゆう魔王勇者 1「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」

 

――実際に「なろう」で書いてみて、どうでしたか?

本宮 いや、意外とみんな文章が読めるんだな、と驚きました。実は僕がいま気にしているのは、面白かったかということより、理解できたかなんですよ。

 以前、「ライトノベル作法研究所」というサイトに短編を投稿してみたのですが、隠喩表現が理解されなかったんです。例えば、「唇を噛み締めた」と書いた時に、「悲しい」という表現とわかってもらえないんですね。

 

――そういう表現はもう、だいぶ前から小説読者に伝わらなくなってますね。

本宮 いまの中高生の日本語と、僕らの使っているそれの間にある、大きなギャップに気づいてしまったんです。でも、「小説家になろう」の方は、より読者層が広いなと感じています。どの程度のパーセンテージかはわかりませんが、隠喩表現が理解できていたように思います。

 

――ちなみに、おそらくですが、「なろう」のメインユーザーは30代じゃないですかね。「なろう」作品を小説化するレーベルがその年代をターゲットにしていますし、何よりどう見ても10代の感性ではない作品が多いんですよね。妙に枯れていたり、RPGの世界観が「FF7」以前だったり(笑)

本宮 いや、まさに。僕も最近そんな気がしているところなんです。

 

格ゲーのプレイ体験は小説として成立するか

 

ストリートファイターIII 3rd STRIKE Fight for the future カプコレ

 

――「3rd」を選んだ理由はなんですか?

本宮 大宮に「LALA」というゲーセンがあって、いぶきをやってるヒガさんとかが来ていたりするんです。それが久々に行ったら潰れていて、なんとも言えない気持ちになったんですね。でも、その気持ちって「誰にアツく語るんだろう」みたいな(笑)。嫁にも話せないし、会社で話すのもねえ……30過ぎたおっさんが格ゲーについて語るのもなあ、と。だったら、「”なろう”で書こう」と思ったんです。

 まずは、格ゲー好きの女の子を出そうと思いました。でも、描きたいのは、恋愛ではなくゲームでした。そこで、物語にする上で最も良いゲームは何かと考えるたら、「3rd」になったんです。理由はたった一つで、「ブロッキング」があったからです。ブロッキングはわかりやすいんです。「弾いて、即反撃が出来るよ。でも失敗したら、やられ放題だよ」という。これならば、何をやっているのか、読者に簡単にわかるんです。しかも、「3rd」なら、1500円くらいの中古で売ってるので、ゲーム開始してすぐに「前」を入れれば、カキンと弾きますからね。これが例えば、「KOF」の空キャンになると、言葉ではわかりづらいし、すぐ試すのも難しくなるんです。

 

――「3rd」って、ステップアップしやすいゲームだったなと思います。上手さの基準がわかりやすい。

本宮 そうそう。それに、この小説のヒロインの忍って、かなりリスキーな行動をとるでしょう。リスキーだけど、上手く行ったら一気にリターンが来るような振る舞い。彼女のそういうイメージが、「3rd」だと描きやすいんです。

 小説で格ゲーが出てくるとき、よく「目にも見えない入力」とか出てくるんですけど、入力猶予という概念があるわけで、そんなものは成立するわけがない。もう僕には全く読めたものじゃない(笑)。100万回レバーを入力したり、一撃で相手を倒す技を出したりとか、そういう話じゃないから、と。

 

――知人の「3rd」ゲーマーの奴に奨めたら、すごく喜んでたんですよ。彼が、いぶき使いだというのもあったのでしょうが。

本宮 でもね、ラストの戦闘の3ラウンド目に、一つ大嘘がこいてあるんです。ずっと立ち小パンを弾きあうんですけど、あれは本当はないです(笑)。というのも、立ち小パンを弾いた段階で、反撃が確定しているはずです。いぶきが、ヒューゴーの小パン至近距離でブロったら、立ち小パンから。立ち中パン、しゃがみ大キック、立ち大キックのターゲットコンボなどで反撃可能です。忍がやらない選択肢はないはずなのですが、そうすると勝てないと判明してしまったので……(笑)

 まあ、もっと細かくいえば、あんなにいぶきをチューンしてたら、あそこまで弱くはならないとか、挑発では消えないとか、あるんですけど。

 

――そこは小説のドラマツルギーを優先した、と。ちなみに、ゲームとしては、やっぱり「3rd」がお好きなんですよね?

本宮 そりゃ、「3rd」が一番面白いですね(笑)。もう、古今東西の格ゲーすべてを合わせても、「3rd」が好きですよ! 金も一番使ってます。「好きな言葉は、中足EX蟷螂」と書いておいてください(笑)。ヤンというキャラクターの基本連続技ですけど、しゃがみ中キックを当てることだけで3時間くらい考えていられますね。

「ストリートファイター」シリーズ自体、「ダッシュ」の頃からずっとやってるので、20年選手ですね。最近でも、大山にあるニュートンというゲーセンによくいます。ただ、闘劇みたいなのが始まった時には、既に大人だったのもあって、大会に出たことはありません。

 「3rd」の面白いところは、流れで勝てたり、変な一点読みで勝てたりするところです。体力ギリギリで、あと一発ぶっこまれたら死ぬという時でも、たまたまダウンが取れたら、あとは延々と投げてるだけで勝てたりする。ブロッキングの存在によって、選択肢が非常に多くなっている。

 

――100%の正解が、ほぼないに等しいゲームですよね。

本宮 まあ、春麗が強すぎることだけですね(笑)

 

――話を戻すと、この物語の面白いところって、まさにゲームのプレイ場面がそのままドラマツルギーになってるところだと思うんです。例えば、『ヒカルの碁』みたいな漫画でも、結局囲碁のシーンは何をやってるかわからなくて、ドラマは盤面の外にあるじゃないですか。

本宮 なかなか、難しいんだろうと思います。

 

――ゲームのプレイが、キャラクターの表現にもなってますよね。まさに忍のプレイスタイルは、忍という子の性格そのままだし。

本宮 やはり意識はしました。これはゲームの話であって、恋愛はオマケなんです。キャッチコピーを考えろと言われたら、「おっぱいよりも波動拳」と言います。

 この物語に出てくる彼らは、一緒にいたいとかヤりたいとか以前に、「遊びたい」なんですよ。「俺、オマエと遊びたいんだよ」って。それは、僕の考える、中高生の恋愛でもあるんです。社会人になると、恋愛にも色んなことが絡んでくるんですけどね(笑)。自分も、コースケと同じくらいの頃に彼女ができたけど、彼女とも単に仲良く話してるうちに「あれ、これって付き合ってるんじゃないの?」「そうかも」「じゃあ、そういうことで」みたいな感じでしたから。

 そういう関係性は、僕がブックマークしてる「なろう」の小説には全然書かれてなくて。目と目で通じあって、すぐビビッと来る、みたいなのばかりで(笑)

 

最適化の思想とどう付き合うか

 

――僕らが本宮さんに連絡をとった最大の理由は、この物語があまりにも「なろう」っぽくなかったことなんです。実はマーケティング視点で作ったと聞いて、驚いたくらいです。

 基本的に、「なろう」という場所は、勝つ作品のテンプレが決まってて、上位の人達なんて、あとは「いかに省力運用しながら頻繁に更新していくか」で勝負している世界じゃないですか。その中で、こういう作品の存在って、すごく面白かったんですね。

本宮 僕は基本的に「ない場所に席を作りたい」人なんです。会社でもそういう仕事をしてるのですが(笑)。だから、テンプレは面白いと思うけれども、転生してどうこうみたいな物語をそのまま作ることはありません。

 そういう意味では、あの作品は絶対に”ない”んです。なにせ、「なろう」に登録している全ユーザーの中で、絶対に僕がサードに一番詳しいに違いないから(笑)。作中で「リリィさん」のやってる謎の即死コンボが、トミナガさんのやってる「W吹上」だとわかる奴はたぶんいない、と(笑)

 

――「W吹上」は後輩がよく練習してました。懐かしい(笑)。プライベートな友達に話す感覚で作ったりもしてるんですか?

本宮 そういう感覚はありますね。宮崎駿監督のように「この世界は生きる価値がある」とか言えるような人間じゃないんで。

 実は僕、ニコ生の黎明期に生主をやっていた時期があるんです。友人に、ニコ生黎明期に何度もBANされた非常に有名な生主がいまして、そいつの上の部屋に住んでたんですよ(笑)。あるとき、彼の外配信に付き合ったことがあって、それを見ているうちに「おもしれえなあ」と。それで、昔好きだったオールナイトニッポンの再現みたいなことをするようになったんです。100人くらいが見ていました。

 この小説では、そのときの状況の再現を狙いました。ただ、その形には残念ながら、なってはいないですね。なかなか感想が来なくて……。

 

――本宮さんの作品は、スキがないんですね。感想をおいそれと述べていいのか困る雰囲気があって……。

本宮 うん、そうかもしれない。もっと遊びたいけど、作品の質を優先させてしまう性格なんです。

 

――そこが、お会いして話を聞きたかった理由なんですけどね(笑)。ネットではスキを見せた方が勝ちだなんて、いまや誰でも知ってますからね。Twitterで人気のユーザーなんて、実際に会ってみると、もう「ネットなんてそういうもんでしょ」と割り切ってる連中ばっかりです。だから、そういう見飽きた連中とは違う、この本宮という人はどういう人なんだろう、と思いました。

本宮 性格的な部分があると思いますね。ニコ生でも、ユーザーと一緒に大喜利みたいなことをやっていたのですが、コミュニティ人数が500人くらいになったときに、自分の生放送に視聴者が300人来たことがあったんです。

 実はそれまで、僕はどんなコメントにも律儀にパーソナリティとして返すことを大事にしてきたのですが、そのとき遂にそれができなくなったんです。それを見て、自分は「もうコミュニティはこれ以上、増えなくていいや」と思ったんです。そこからは、もう「コミュ入りました~」と言われれば、「いちいち報告しなくていいんだよ!」と返すし、配信が始まって「初見です~」と流れてきたら、「初見の連中、よく聞け。ここは怖いインターネットだからな」と凄んでみるし(笑)

 大喜利コミュニティの連中と話したときに「コミュ人数を伸ばしたくないんですか?」と聞かれたことがあります。それにも、「俺がやりたいのは、”うな重しか出さねえんだよ!”とか親父が言ってる、街外れのうなぎ屋だからさ」と答えました。

 今も一緒ですよね。「うちは”3rd”しかねーから」と言ってる(笑)

 

――でも、そういうあり方って、本当は黎明期にインターネットが見た夢だったはずなんですよね。どこのHPに行っても、そこにしかないこだわりの一品が出てくる……みたいな。

本宮 そうですよね。

 

――でも、きっとネットユーザーは、発見してしまったんだと思うんです。さっきの「まおゆう」みたいに、祝祭的な一体感の中で、コンテンツやイベントを盛り上げていくツールとして、実はネットはメチャクチャ使えるということに。また、そういうモノに乗らないと、モチベーションを維持するのも大変だ、ということに。この10年で大勢が流れたのはそっちでした。

 でも、そんな風に楽しめる作風には、実は偏りがあるんですね。すべての作風に、そういうチャンスがあるわけではない。僕らの中では、「なろう」の上位作品は、それをマーケして作られたものの典型なんですよ。金太郎飴みたいに転生モノが並んでますよね。

 

「仕事にできない”好き”といかに向き合うか」

 

――と、長々と語ったところでお伺いしたいのですが……新作なんか「なろう」に最適化しようとしてません?(笑)。タイトルとか……。

本宮 いやいや、中身は「なろう」じゃないですよ。あれも空き家狙いです(笑)

 あの作品では、「お前ら異世界転生とか言うけど、死ぬんだよ?」ということを書こうと思ってます。

 

――おお(笑)

本宮 そこをまずお前ら、悩もうよ、と(笑)

 

――(拍手)

本宮 まだ全く転生していませんが、「なぐる」の7倍はアクセスが来てますね。で、看板はガストなんだけど、中に入るとうなぎ屋の親父が待ち構えてるわけです(笑)

 

――本当に「ここは怖いインターネットだ」ですね(笑)。ちなみに、最近話題の「ゲーセンで出会った不思議な子の話」はどうですか? 全然ゲーセンである必然性がなくて、僕は本当にいけ好かないのですが(笑)

本宮 まあ、タイトルは聞きましたけど、全然読んでないですね。女の子が病気でどうこうと聞きましたけど。『風立ちぬ』なんていう、クラリスの顔をした女の子が血を吐くという衝撃的なアニメ(笑)が流行ってるさなかに、よく出すなあと思いますね。まあ、読んだら感動するんじゃないですか。僕、素直な人間なんで。

 

――そういう語り方をする辺り、本宮さん、格ゲーに限らず結構オタクですよね(笑)? TRPGがお好きとも書かれてましたし。

本宮 まあ、とにかく色々やってみる人間なんですよ。こう見えて、週2回フットサルしてたりしますし。

 TRPGについては、もうやってたとかいうレベルではないですね。ちょうど就職した頃に始めて、mixiでイベント開いて、100人くらい来たこともありましたよ。大学の後輩に、あるTRPGメーカーに出入りしているやつがいるのですが、「金儲けのために同じシステムを使いまわすのはやめろ」と、よく説教してます(笑)

 

――数ある趣味の中の、今のブームが小説なんですね。

本宮 小説を通じて、色んな人に会えるのが面白いですね。TRPGでも、ニコ生でもできないことができるし。

 

――そろそろ終わりですが、今後についてお伺いしたいです。個人的には、「なぐる」の<コロシアム編>を楽しみにしてるんですよ。そこで、本宮さんがゲームの意味のなさについて、どう向き合うかが気になってます。

本宮 答えは簡単で、「それはオマエが決めろ」ということです。それは、「なろう」の人たちにも訪れることですよ。「小説家になろう」の「なろう」は、「小説家に(なった気分に)「なろう」」の「なろう」ですから。サイトではわざわざ「本宮先生」と呼んでくれていますが、まあそういうサービスですよ。

 そして、きっとみんないつか、そのことに気づく日が来る。そのとき、あなたは創作を辞めるのか? ――僕はそれは違うと思う。「3rd」を楽しむ彼らが「ずっとこうしてたいよね」と言うように、僕らもずっと続ければいい

 

 少し大げさな話をすると、もう僕らは、食うために働くのが最適解の世代ではないです。食うために働きながら、一方で何かを作っていく生き方だってありなんです。

 僕自身、食えるなら作家になりたいですけど、でも今の仕事は既に10年やっていて、役職もあって部下もいるわけですし、演劇もあるわけです。どれも疎かにできない中で、小説をやっている。うな重しか出さないからこそ、うなぎに手は抜きたくないという気持ちで、一つ一つ作っています。なので、しばらくは、いま連載している作品の方を書く予定です。<コロシアム編>はその後になります。

 

 そういう意味では、僕はこの「仕事にできない好きなものをどうするか?」という問題の答えを読者に丸投げする気はないです。場末のうなぎ屋の頑固親父として(笑)、その生き方を肯定してあげたい。物語の中でも、主人公たちにしっかりと答えは出させます。

(了)

 

 

――ねとぽよでは、今後もこうした取材を定期的に行っていきます。突然取材依頼のリプライが飛んでくるかもしれませんが、ぜひその際には、ご検討いただければと思います。 

【聞き手:斉藤大地・構成:稲葉ほたて】

 

 

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