「親世代」という言葉を、知らないハリポタ読者がいるなんて――ハリポタは読んでいるけど二次創作には触れていない友人と会話してる最中、度肝を抜かれた。

 

「親世代って……ハリーのお父さんたちのこと?」

 

……何も知らない風に首をかしげる彼女に、私は返す言葉がなかった。

 

ネットで人気だった「親世代」

 当然のように私は、ハリポタは、ざっくり「親世代」「子世代」カテゴリに分かれるものだと思っていたし、むしろ圧倒的に「親世代」の方が熱いものだと思っていた。しかし、そもそも世代区分自体が、彼女にはないようだった。だが、冷静に考えてみれば当然だ。ハリーポッターは1980年生まれのハリーが中心の物語で、1960年生まれのジェームズたちにスポットが当たる描写は少ない。

 にもかかわらず、ネットの中で親世代の人気は圧倒的だ。私が足を運ぶ夢小説サーチエンジンでは、親世代夢が子世代の三倍もある。

 ハリドラかドラハリか、スネハーもいいね、ハリハーかロンハーも悪くないけど――私はそんなCPが主流の頃から、二次創作の中をうろうろ見ていた。しかし、親世代は登場してからすぐに熱がついた記憶がある。「親世代」のシリウスやリーマスが登場するのは三巻の『アズカバンの囚人』からだ。実は、次の四巻の『炎のゴブレッド』ではシリウス、ルーピンらがほとんど登場しなかったのだが、親世代の人気に影響は出なかった。
 それどころか、ハリポタ熱が高まるにつれ親世代人気も上昇していた。もしこれが他の漫画なら、少し考えにくいことかもしれない。原作での活躍が減っても、人気が衰えないなんて。

 

ネットの海に忘れ去られた「チョウ・チャンの衝撃」

 私もまた、最初はハリーが一番好きだったけれど、『秘密の部屋』でリドルに惚れ、『アズカバン』でやっぱりハリー好きよ、と揺れた。そして、『炎のゴブレット』。ここで私はハリー夢から離れた。
 それは、チョウ・チャン登場の衝撃のせいである。(私はこれを勝手に「チョウ・チャンショック」と名付けている)

 ダンスパーティーでチョウを誘おうとするハリー、セドリックと踊るチョウを見てがっかりするハリー、パーバティー・パチルとダンスパーティーに参加するハリー……

 

 ――そうだ、これはハリーの成長物語だった……。

 

 そのとき私は、「夢主として、割りこむ隙がない……」と思った。物語が動く時間軸と同時に、丁寧に描かれる人間関係、みっともない喧嘩、そして仲直り――人の成長に寄り添いながら、夢を見ることのむずかしさを痛感した。

 私がハリーを助ける必要はないし、たぶん助けられないし、助けてもくれなさそうだし、きっとダンブルドアに与えられる試練やなんやらでこれからすくすく育っていくんだろう。見守りたいけど、私にはきっと見守ることしかできなさそう。なんとかハリーと交わるには、それこそオリジナルストーリーを牽引できるようなチートキャラにならなくちゃ無理だ……原作が強固すぎて、夢で補強する部分が減ってしまったのだった。

 そこで目が向いたのが、親世代だった。逆に、親世代には隙間が山ほどある。原作が力強い分、舞台設定はインストールしやすい。それに、ちゃんとオトナになり「成長」を終えた彼らの学生時代は、妄想も楽しかった。
 原作には出ていないけれど、シリウスやルシウスに彼女がいたっておかしくないし、ジェームズたちはさぞ素敵な学生時代を謳歌したに違いない!
 ヘタレ犬はモテまくって女と遊んでいたんだろうし、ジェームズは腹黒策士リーマスは甘党で影の支配者スネイプとルシウスは鬼畜耽美……それは私だけの妄想ではなく、気づいたらそのように色づけがされていた。
 そして、私は「きっと、リリーと結婚する前にジェームズは心が揺れたこともあったろう!」との意気込みで、ジェームズ夢を読んでいた。

 

 そんな風に、成熟し終えている彼らのキャラクターは揺るがない……はずだった。
 でも、それもやっぱり永遠のものではなかった。

 七巻を読んだときのことだった。

 

「…………ジェームズたち、ちょっとやな奴……」

 

 成長物語を追っている最中に受けたショックが、ここにもあった。スネイプが童貞で、とてもピュアだったことが発覚したこの最終巻は、親世代のキャラたちの、生々しさが滲み出ていたように思う。七巻で、スネイプをいじめているジェームズを読んだときは、さすがに、作中のハリー同様、私も動揺いたしました、はい。
 今更変わらない、と安心して二次創作の中で育った親世代キャラのイメージでさえ、原作に変えられてしまうことがあるのだ。

 

でも、日本の女の子は強かった

 けれど、それから何年経っても、ハリポタ二次創作の火は消えることはなかったようだ。どうやら原作が放った球を、打ち返すでもかわすでもなく、ハリポタクラスタの二次創作は、それとうまく向き合って吸収している風に見える。

 

 日本の女子の二次創作欲は凄い。

 

 例えば、私が一番二次創作に熱心だったころ、リーマスといえば、糸目で赤い紐でポニテにしてて、前髪は少し長めでクスクス微笑するキャラクターだったけれど、最近pixivにあがっているものでは、ポニテのリーマスは少ないし、何故か顔に傷がある。映画の影響だろうか。鬼畜スネイプも、最近は減っているらしいし、ジェームズはDQN臭の方が前に出ているようだ。
 そんな風に、変化していった原作に対応しながら、ともに二次創作が育つほど「ハリーポッター」は愛されていたのだ。そう思うと、映画や原作が完結した時の悲しさが報われる気がする。

 

 私は、DQNだろうと腹黒策士な鹿だろうと、ジェームズがとても好きです。
 (…………一番好きなのはリドルなんですけどね…!)

 

 と、そんなことを思いながら、ジェームズ夢の<中編>を更新しました。
 よければお読みください(タイトルは雅から拝借したよ!)。

 

不眠症の眠り姫~中編ジェームズ視点/夢主視点

 

※ 前編はこちらから→ジェームズ視点/夢主視点

  後編はこちらから→ ジェームズ視点/夢主視点

 

 11月2日に行われるハリポタイベントでは、こういう普段なかなか話さないような二次創作のお話もできれば……と思っております。お楽しみに。

 

 sukusyo

ホグワーツ出張授業 in 東京 ~廃校で夢と魔法の集いを~

 

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