8月中、ねとぽよでは、31日連続で小説を更新するという謎の企画が行われていました。それが、以下に紹介されているオリジナル連載小説作品「妖式コンゲーム」です。

 2_初登場3人

Web連載小説「妖式コンゲーム」の続きが気になって仕方ない! – NAVER まとめ

 

 ちなみに、「小説家になろう」などでも毎日更新をする人はいますが、大抵はしっかり書き溜めた上で計画的に出していくそうです……が、この作品は、ガチで毎日書いてはせっせと上げてました。うーん、狂気沙汰。

3_JK救出

6_銀髪の女の子

5_まりくの影

作中に出てきたイラストの一部。negiyanさんにもハイペースで描いていただきました。

 

 さて、そんな風に生まれた「妖式コンゲーム」のスピンオフ短編作品を、11月4日の文フリで発売する「ねとぽよ 恋愛特集号」に掲載します。そして、なんと太っ腹なことに、おとぴこ先生が、この作品に関してウェブ上での全文公開を許諾してくれました

 

 ということで、そんなこの作品の解説を、作者のおとぴこ先生に代わって実質編集長の稲葉ほたてが書かせていただいております(自作の解説は恥ずかしいのだそうです)。とりあえず、まずは作品を読みましょう。スピンオフ作品なので、前提知識はいりません。まずはご一読を。

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流星カレイドスコープ~a side story of yoshiki-congame~(作:音比古)

(入ったあとは、右側にカーソルを合わせてクリックするとページが進みます)

 

妖式コンゲームとはなんぞや

 上のNAVERまとめに略式の解説が掲載されていますが、少し内容を説明しておいた方がいいでしょう

 この作品は、架空の江戸時代を舞台にした物語です。時代や時期はあえてはっきりさせていませんが、江戸の中期くらいと思っていただければいいかと思います。物語のジャンルとしては、「伝奇」になるでしょうか。人間に化ける能力と記憶を吸収する能力を持った狐たちと人間の戦いを描く物語です。
 主人公は、鞠貢(まりく)という少年。生まれたときから、すべての記憶を覚えているという特殊能力を持っており、かつては将軍家の屋敷にいた記憶もあるのですが、どういうわけかいまは町外れの寺に暮らしています。そんな彼が、江戸で巻き起こる様々な事件や騒動を解決しながら、狐たちと人間の戦いに身を投じていくのが、「妖式コンゲーム」の大きなあらすじとなります。

 

なぜにねとぽよに創作?

「妖式コンゲーム」の話が持ち上がったのは、6月半ばのことだったでしょうか。元々は、最近ボカロ周りで話題になっている”和風ロック”楽曲の世界観を物語にしたいよね、という飲み屋での僕の話から始まったプロジェクトでした。

 


 

その場で音比古さんが書いてみたいと手を挙げ、それにnegiyanさんが絵師として加わってくれて、みんなでわいわい集まりながら、設定や物語を考えていきました。

 ちなみに、ねとぽよを運営する視点から一つ言うと、そもそもねとぽよには、かなり初期から創作志向があります。例えば、ねとぽよ2号には「ネット×物語」と銘打たれた特集があり、そこには今や伝説的な作品となった@johnetsuのカルト小説『オナホ男』や、後に講談社で四季賞を獲った山田胡瓜さん(当時はITmediaの記者でした)の漫画『バースデー』が掲載されました。

 

無料公開!「オナホ男」| ねとぽよ

祝・アフタヌーン四季賞2012冬で大賞受賞 山田胡瓜さん(受賞作:『勉強ロック』)にインタビュー – netpoyo広報ブログ

 

その後も、夢小説にちょっと手を出してみて、女の子ウェブ号の販促サイトの隠しページに掲載してみたり、最近では『Free!』の夢なども公開しています。

 

苦手な人は回れ右してヤフーへ…? 勢い余って『Free!』の遙で夢小説(微甘)を書いたよ | ねとぽよ

 

普段は評論サークルというのが一番わかり易いのでそういう括りにしていますが、実態は本業で創作やウェブサービスなどに携わる社会人たちが、会社や編集者に通りづらい企画を創作など含めて手当たり次第に(手弁当で!)やっているのが、ねとぽよという感じなのですね。
 そういう中で、このWeb版「ねとぽよ」を立ち上げた段階で、新聞小説のようにサイト内で連載小説が掲載される企画があったらいいよね、という話はずっとあり、そうした流れも汲んで生まれた面があります。

 

「妖式コンゲーム」を貫くテーマ「記憶」

 話を戻すと、「妖式コンゲーム」を貫く大きなテーマが「記憶」です。これは、作者のおとぴこさんから提示されたものでした。

 ――特に3.11以降、記憶を忘れること/忘れないことが、現代人の生き方にとって、とても深いものになり始めている気がする。なにか辛いことに直面したとき、それを忘れて前を向いて生きるべきか、それともそれを抱えて生きるべきなのか……どちらが正しいのか、簡単に答えが出ない時代になってしまった。そのことを、エンターテイメント小説を通じて描けないだろうか……そんなところが、彼女の根本のところにある発想でした(と、僕は解釈しました)。

 ちなみに、彼女のブレスト相手として制作を手伝った僕としては、狐が記憶を食べるたびに、その記憶がどんどん移動していくギミックが、とても面白い展開になりそうだなと思っています。というのも、自在に主体の間を移動する記憶というのは、ほとんどインターネットのような場所を流れゆく情報という存在そのもののメタファーだからです。ここに至って、記憶を忘れるべきか否か、という問題は、ネット時代の情報をめぐる倫理の問題として捉えられるでしょう。

 

夢小説の影響

そんなわけで、今回のスピンオフ作品では、愛する男のために自分の大切な記憶を差し出した女の子の姿が描かれています。「妖式コンゲーム」シリーズにおける位置づけとしては、火消しとして登場してくる「辰徳」の過去を描いたスピンオフ作品になります。

 

かごめかごめ

右側にいるのが、火消しの辰徳です。

 

 ちなみに、この作品を書くときに僕がつけた注文は、「自分のオリジナル小説の二次創作を書くつもりで書いてくれ」ということでした。二次創作といえば多くの人はBLを思い浮かべるかもしれませんが、おとぴこさんにとって、それは「夢小説」でした。結果的には、とても夢小説的なタッチの小説ですが(物語も書き方も)、でも完全オリジナル小説という、不思議な作品が生まれました。もちろん、人間の記憶というテーマについても、おとぴこさんらしい視点から迫っています。

 あと、余談ですが、ここに出てくる主人公のユウヒという子は、おとぴこさんがかつて夢小説を書いていたときに使っていた、夢主の名前なのだそうです。そんな彼女の黒歴史も頭に入れつつ読んであげると、さらに味わい深さが増すかもしれません。

 

 

 

 なお、本スピンオフの素敵なデザインは、デザイナーの「はみがき」さんにお願いいたしました。本当にありがとうございました(彼女の連絡先はhamigaki0927@gmail.comだそうです。お仕事ご用命の方などいればぜひ)。

 

 

 

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