「Ameba」を使ったことのある人、沢山いますよね。アメブロを通じて友達を作ったり、アメーバピグにハマったりした人もいるのではないでしょうか。そんな人気サービスに「V系好き」が関わっていたと聞きつけて、「『Ameba』とV系の関係」に迫ってきました。「Ameba」の制作秘話や裏話をお話いただきました。前編の記事はこちらです。

 

Amebaなうの”中の人”はバンギャルだった――蟹めんまさんと開発秘話を聞きに行ってみた(前編)

 

前編に引き続き、参加者はこちらの4人です。

 

えこちこさん:1985年生まれ。AmebaグルっぽやAmebaなう、アメびじゅ、Candyの立ち上げに携わり、アメーバブログのマイページやペタも担当。中学生でV系に目覚めて、CASCADEが本命でした。

蟹めんまさん:1985年生まれ。マンガ『バンギャルちゃんの日常』の作者です。小学生の頃にV系に目覚めて、La’cryma Christi、DIR EN GREYなどのバンドを聴いて育ちました。現在もバンギャルです。(ブログ:蟹めんまのバンギャル漫画

バンギャルちゃんの日常

バンギャルちゃんの日常 2  

田久保健太さん:1985年生まれ。サイバーエージェントでは、ブーシュカやブログネタ、クチコミ番付を担当して、4年目からピグの責任者をしています。L’Arc〜en〜Cielから入って、今はソフトギャ男です。

浅木康之さん:1977年生まれ。ピグの立ち上げに関わって、今はAmebaのスマートフォン向けのゲームを制作する部署にいます。D’ERLANGERやJUSTY-NASTYから入って、高校時代はL’Arc〜en〜CielやGLAYを聴いていました。

 

後編では、ついにピグとブーシュカの話も伺います。V系とタイアップするための苦労話はもちろん、V系ファンからみた「Ameba」の内部事情に迫ります。

 

ピグに鼻布が出たときは「『Ameba』は味方だ」と思った

 ――さて、ピグの話もお伺いしていきたいです。浅木さんと田久保さんはピグで何を担当されていたんですか?

 

浅木康之(以下、浅木) 僕はクリエイティブディレクターとして、立ち上げに関わりました。当時、女性向けのアバターサービスに「プーペガール」があったので、アメーバピグは男女どちらにも使ってもらえるものにしようと始まりました。「かわいい」がコンセプトで、二頭身にしたのも、かわいさへの挑戦だったんです。僕は、UIデザインとかイラストの確認、アイテムの外注などを担当しました。

 

田久保健太(以下、田久保) 僕がピグに入ったのは、ピグライフが出た直後くらい。ピグライフリリース後の企画や機能開発をしています。ハロウィンの日限定で、ピグライフのマルシェという市場の時計を逆回りに回してみる、というV系っぽい小ネタを仕込んだりしました。あのときはそのまま直し忘れてしまって、ちょっと話題になっちゃったので、知っている人もいるかもしれないですね。

 

蟹めんま DIR EN GRAYが好きな読者さんは、いま頭のなかに『Cage』が流れてますね(笑)。

 

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アメーバピグでは、着せ替えや模様替えが簡単にできてかわいい

 

――Alice Nineコラボのピグアイテムが出たとき、メンバーの髪型から衣装、楽器まで全部売っていましたよね。あれでピグにコスプレイヤーが増えたのをよく覚えています。アイテムが可愛いんですよね。

 

蟹めんま コスプレといえば、私の初課金アイテムはthe GazettEのREITAさんの鼻布ですね。ずっと「課金はするまい」と思って耐えてたんですが、これが出た瞬間タガが外れました。「Amebaさんはバンギャルの味方だな」と確信しましたね。

 

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めんまさんのピグアイコン。the GazettEのREITAさんが鼻に巻いている布のことを、ファンの間では「鼻布」と呼びます。

 

田久保 あれは、the GazettEさんとコラボレーションする機会があって、ファンの人にヒアリングしたら「絶対、鼻布っしょ」と言われて作りました。V系はピンポイントの単品がとても人気です。

 実は去年、千載一遇のチャンスでゴールデンボンバーさんと組めそうだったんですよ。今年に入って、やっと「ニャンちゅうとニャルビッシュ」で、かすったアイテムを出せました。

 

蟹めんま どのコラボも、ファンの心を掴むものが上手いんですよね。私はV系バンドの物販グッズでおなじみのチェキにハマった頃くらいから、バンド関連の金銭感覚が狂ってしまって、500円ちょっとだとつい買ってしまうんですよ。「あ、チェキ1枚分くらいか……」っていう感覚ですね。そういえば、この前P缶(※)関係のライブに行ったときにピグのビラが入ってましたよ。

(※)有限会社PS COMPANYのこと。the GazettE、Alice Nineなどが所属する事務所。

 

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蟹めんま「こんなビラが配られていましたよ」

 

浅木 そんなことをしていただいているんですか、知らなかった(笑)。これは嬉しいですね。

 

ロリ服解禁は、覚悟の上でした

 

蟹めんま そういえばアメブロで漫画を描き始めた頃に、ピグ内の「Vの森」で宣伝活動をしてたんですよ。あそこに行けば必ずバンギャルさんがいるので、ヒマそうに佇んでいるピグに「バンギャルの漫画を描いてるから、よかったら見てください」って言い回っていました(笑)。

 

永山瑛子(以下、えこちこ) Vの森、懐かしいですね。結構盛り上がってたのに消えちゃいましたよね。

 

蟹めんま バンギャルさんが集まる場所になっていたと思うんですよね。あと、私はピグでライブごっこをするのも好きでした。というのも、ピグのアクションはバンギャルっぽい動きが多いんですよ。「おじぎ」は”折りたたみ”になるし、「うれしい」は”咲き”みたいだし。あれは狙って作ったんですか?

 

田久保 いやいや、偶然の産物です。

 

浅木 V系っぽかったのかな。いや、全く意識してなかったんですけどね(笑)。

 

めんまさんピグ部屋

蟹めんまさんのピグの部屋。ライブハウスっぽい!

 

――めんまさんの部屋もライブハウス風に改造されていますけど、ここまで作りこまれることは制作時には想定していたんですか?

 

浅木 全く想像してませんでした。ただのブロックが、アートみたいになるなんて。ブロックでできたガンダムが置いてある部屋もあったんですよ。興奮しましたね。

 

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派手な改造部屋の一例

 

蟹めんま 前編で「なうのタレントフィードを埋め尽くした」とお話に上がった少女-ロリヰタ-23区時代のBANさん(現:LOUD GRAPE)や、元トーマスのずんさんも凝った部屋や庭を作っていましたね。バンド活動をしながらここまでやり込んで、「この人たちは一体いつ寝てるんだろう」と心配してしまうほどでした……(笑)。

 

えこちこ たしかに、ブログで「ピグライフに使うお水をください」、と書いているバンドマンはよく見かけますよね

 

――ところで、ピグの主なユーザーはどのような人たちなんですか?

 

田久保 ヘビーユーザーは主婦の方が1番多いです。でも、エリアで喋っているのはユーザーには小中学生も多いんですよ。

 

浅木 だから、年齢層の低いユーザーたちも飽きないような工夫はしました。例えば、1番人気のアイテムを出すタイミングは、やはり少し考えるんですよ。

 

田久保 ロリ服がその一例です。1番売れるモチーフなので、あれを解禁したときは覚悟の上でのリリースでした。

 

浅木 その分、釣りやカジノのアイテムはちょっと強めに仕掛けたりしてますね。

 

――カジノのホワイトタイガーがめちゃくちゃほしくて、1日中スロットしてました(笑)。

 

蟹めんま 私もピグの釣りゲームが大好きでした。ピグの釣りは、横の人の釣れ具合が見えるのがいいですよね。横の人はガンガン釣れてるのに、自分は来ないな〜? とか。やっぱり課金して、いいエサをつけないとダメかな? とか(笑)。それまでも他のオンライン釣りゲームをやっていたんですけど、1度ピグ釣りをやっちゃうともう他に行けないですね。釣り好きの友人も「リアルな釣りに限りなく近い」って喜んでましたよ。

 

浅木 バケツに魚が盛れたり、細かい小ネタも仕込みました。使っていただいてる人の声を聞けるのは嬉しいですね。作ってよかったなあ。

 

ムックのブーシュカをなでた回数は85万回

――ブーシュカは「Ameba」内でも人気育成ゲームで、V系とコラボしたグッズもありましたよね。

 

田久保 僕がサイバーエージェントで初めてやった仕事が、6月9日の「ムックの日」限定で、ブーシュカのムックアイテムをリリースすることだったんです。たまたま、YUKKEさんがブーシュカを遊んでくれていることを知っていたので、アイテムにしたら盛り上がると思ったんですよね。

 

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田久保「ムックの日に、YUKKEのアイテムを690円で販売しました」

 

 それが意外と好評だったので、ブーシュカの動きに「ヘドバン」っぽい動きを追加してみました。ただ、彼は首がないので縦ノリができないんですよ。だから、斜めに振ってみました。

 

蟹めんま 斜めヘドバン……(笑)。若手バンドさんのライブでよく見かけるやつですね(笑)。

 

田久保 他にも、毎年年末にやるイベントのプロモーションとして、ブーシュカで「V系対抗餌付けバトル」をやったりもしました。ムックさんとMERRYさんと彩冷えるさんの豚で一番たくさん餌をもらったバンドが優勝というルールで、ムックさんが勝ったんですよね。これも、楽しかった仕事でした。

 

――タレントさんが使ってくれていると、ファンも盛り上がっていくんですね。

 

田久保 ムックさんは特にそうでした。YUKKEさんのブーシュカをなでた回数は通算85万回を超えていて、これは、他のアーティストさんに比べても桁が違うんですよね。

 

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YUKKEさんのブーシュカ

 

 PENICILLINのHAKUEIさんとタイアップして眼帯を作ったり、忌野清志郎さんとHIDEさんの命日限定で、それぞれ、ファンの方にしか分からないようなアイテムをしれーっと出したりしました。

 

ネットに黒歴史を残してほしかった

 ――そして、次は「Candy」についてお聞きしていきたいです。えこちこさんが、なう、グルっぽ、アメびじゅなどに携わってきて、次に手がけたサービスが10代のキラキラ女子向けのスマホサービスなんですね。

 

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CandyのPCページ

 

えこちこ Candyも自分で提案して立ち上げました。アメびじゅとは一転して、V系色は薄めですね(笑)。自分はインターネットに10代を捧げてきたので、彼女たちが身を注げるサービスが作りたかったことが立ち上げの動機でした。

  そもそも、私はインターネットを始めた時期が早くて、中2の頃にはCASCADEの私設ファンクラブのチャットルームに入り浸っているような子だったんです。teacup.の掲示板に行ったりとか、COOLというサーバーでHPを作ったりして、「どうして生きているんだろう」みたいなことをブログに書いたりして育ってきたわけです(笑)。それで、大人になってから10年前のヤプログ!を読み返すじゃないですか。そうすると、当時は真剣に悩んでいたんだろうけど、何だか楽しいんですよね。

 

蟹めんま 私も消しちゃったけど、取っておけばよかったと今になって思います。唯一残ってるのがmixiだけど、もっと暗黒だった頃の文章が見たいんですよね(笑)。

 

えこちこ そうそう。だから、若い子たちに黒歴史を残させてあげたくなって、Candyを作りました。

 

――そういえば、アメブロは「記事全消し」ができないんですよね。「黒歴史消したい」と思っても、1記事ずつ消すのは大変なので。

 

えこちこ そうなんです。できることなら、退会しても10年くらいはログを残しておいてあげたいくらいですよ。しかも、Candyはサブ垢も作れるようにしたんです。これはきっと、いろんな黒歴史が残っていきそうな予感がしています。実際に、サブ垢で二重人格になってる子とかもいてね。

 

蟹めんま その辺は私たちと変わらないんですね(笑)。今の10代の子をみていると、昔よりも自撮りする子が多くて驚きます。みんな垢抜けていて、可愛いですね。

 

えこちこ たしかに、自撮りをあげるハードルは相当下がっていますね。グルっぽやCandyで、「自撮りに点数つける」スレが数年前に流行ったことがありました。スレ主の子が「点数つけまーす! かわいい、75点!」とレスしていくんですよ。可愛らしいですよね(笑)。

 

――自撮りをする人が増えて、する人としない人の対立も出ているみたいですね。ちなみに、他に今と昔で若い子の文化で変化を感じることはありますか?

 

えこちこ 今は、カリスマがいなくなっていますよね。私たちの世代でいう、あゆとか安室ちゃんがいない。だから、趣味が多様化してるんですよ。V系、韓流、EXILE、ジャニーズ、ボカロ……。それに、昔は「ジャニーズ好きがV系好きより偉い」といった優劣があったけど、今はなくなっている感じがします。だから、「みんな私のことを分かってくれない」という悩みが、ぐっと減ってる気がします。思春期特有の「なんで生まれたんだろう」みたいな悩みは、もちろんあるのですが……。

 

今後の展開 

――こうやって振り返ってみると、短いスパンでいろんなサービスを作っていますね。

 

えこちこ そうですね。私の体感では、多くのウェブサービスの寿命は、たったの2年だと思っているんです。サービスが流行るまでに2年かかって、そこから2年は持つ。でも、それ以降は時代から取り残されてしまう。だから、新しいものを出し続けないと時代についていけないんですよね。

 

浅木 刹那的ですよ、本当に。

 

えこちこ しかもスマホに変わってからは、アプリのランキングで一気に上下してしまうでしょう。その寿命はもっと早くなるかもしれませんよね。

 

――でも、コンスタントにいろんなサービスが出るおかげなのか、アメブロは他のブログに比べて、定着率が長い印象があります。

 

えこちこ それは、他のブログよりも「人がいる感じ」を作れているからだと思います。なうにはいつも誰かのつぶやきがある。ペタがついたり、ピグならグッピグされたりするでしょう。こういった、「誰かに見られている」感覚はとても重要なんだと思いますね。

 

蟹めんま 私も「アメブロなら読んでもらえる」と思ったから、マンガを掲載し始めたんです。バンドマンやタレントがいるから、ファンも集まりやすいのですかね。特に印象的だったのは、しょこたんがAmebaに移ったときで、あのときに「Amebaキテるな」と思いました。

 

えこちこ やっぱりタレントさんの力は大きいですね。私もCASCADEのTAMAちゃんがアメブロ使い始めたときは、すっごい嬉しかったもんなあ。

 

――今回のV系だけでなく、ユーザー発の流行を取り入れるのが上手ですよね。えこちこさんが、サービスを作るときに気をつけることはありますか?

 

えこちこ そこはユーザーの意見を真に受けるのではなく、むしろ自分たちが使わせないといけないと思っているんです。私が「これはいい」と思ったものを作り続けないといけないのかな、と。だから、流行の先を行かないといけないので大変ですね。自分の感覚が古くならないように気をつけています。「えー、こんなものも作れないの?」と言われたら、終わりですよね。

 

――では最後に、これからどんなサービスを作っていきたいか教えてください。

 

浅木 僕は世の中をおどろかせるような、わくわくするサービスをつくりたいですね。

 

田久保 「日本を代表するメディアづくり」をずっとやっていくことになるので、アメびじゅのような、ごく一部の熱い人が悶絶するようなサービスを趣味で作ってみたいです。たとえば、仏像好きや坂道フェチの人にも楽しんでもらえるサービスとか(笑)。

 

えこちこ 私は、TwitterやFacebook、アメブロ、mixiに並ぶくらい大きなサービスを打ちたいですね。

 今までのウェブサービスは、ネット好きな人に向けて作ればよかったと思うんです。でも、今や全国民がスマホをいじりはじめてしまったわけじゃないですか。そんな時代に、「薄味だけどみんなが好むヘビーに使えるサービス」を考えることは難しい……と思いながらも、野望です。

 

――「Ameba」の裏話を聞けて、目からうろこでした。今日はありがとうございました!

 

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最後に、蟹めんまさんからサインをもらうえこちこさん

 

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かわいいサイン! みなさん、ありがとうございました。

 (了)

 

 

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