バーコードバトラー。1990年代前半にヒットしたこのおもちゃをどれだけの人が覚えているだろうか。ねりまちゃんのブログに投稿された記事をみた、ねとぽよ編集部の人たちから誘われ、僕はねりまちゃんにバーコードバトルを挑むことになった。

 

十数年ぶりのバーコードバトル!

 

今回はこの懐かしのゲームを、ねりまちゃんとねとぽよ編集部と一緒に遊んでみた。

 

【第1戦】山中:『学級王ヤマザキ』&『カンニンGOOD』

vs. ねりまちゃん:「烈車戦隊トッキュウジャーソーセージ」&「チョコエッグ(とびだせどうぶつの森)」

【第2戦】山中:『サイボーグクロちゃん』&『ロックマンX』

vs. ねりまちゃん:『翠星のガルガンティア 外伝・少年と巨人』&『つるつるとザラザラの間』

【第3戦】山中:『バーコードファイター』&「紙パックの烏龍茶」

vs. ねりまちゃん「リ・ガズィ(機動戦士ガンダム ASSAULT KINGDOM)」&「UHA(上海のおみやげ)」

 

ねりまちゃんと僕の3回勝負に加えて、エキシビジョンとして因縁の対決・3本勝負も行った。 

 

【エキシビジョン第1戦】『ワンピース』vs.『FAIRY TAIL』

【エキシビジョン第2戦】村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』vs. 村上春樹『ノルウェイの森』

【エキシビジョン第3戦】「きのこの山」 vs. 「たけのこの里」

 

バーコードバトラーを使えば、リアルでは実現しないような対決もできる。きのことたけのこは、果たしてどちらが勝つのか。村上龍と村上春樹の試合は、思わぬ展開に……?

僕たちが、これらの因縁の戦いの行方を見届けてきた。

 

バーコードバトラーとはなにか

そもそも、バーコードバトラーとはなにか。

それは、91年にエポック社から発売された、バーコードを用いたバトルが楽しめる電子ゲーム機のことだ。「バーコードリーダ」という専用の機械にバーコードを読み込ませると、「生命力」「攻撃力」「守備力」の3つのパラメータが表示される。攻撃、魔法、回復などのコマンドを組み合わせながら、それぞれが持ち寄ったバーコードで戦う。先に相手のHPをゼロにしたプレイヤーが勝利だ。身近にあるバーコードを切り貼りするだけという手軽さと、シンプルなゲーム性から、当時の子供たちの間で熱狂的なブームになった。

バーコードバトラーII 時空を越えた戦士達

バーコードバトラーについて、ほとんど覚えていなかったこともあって、試合前は「好きなマンガのバーコードで戦わせればいいか」としか考えていなかった。実際に、僕が持ち込んだアイテムは、部屋の本棚から取り出した懐かしの月刊コロコロコミックやコミックボンボンなどのコミックを選んだ(あと、烏龍茶のパック)。せっかく戦わせるなら、大好きな作品が戦いに勝ってくれれば嬉しい、と思ったのだ。

結論から申し上げます。ぶっちゃけバーコードバトルなめてました。これから、この戦いの行方を振り返ってみたいと思う。

 

実際にやってみた

都内某所。某オフィスの会議スペースで、この戦いは催された。プレイヤーは僕とねりまちゃん。立会人は、ねとぽよ象徴編集長の斉藤大地さんと実質編集長の稲葉ほたてさんの2人だ。今回のねとぽよバーコードバトラーのルールはこちら。

  1. 2人対戦機能での対戦
  2. バーコードは必ず市販の賞品・クーポンなど実在のものを使う(自作などはしない)
  3. 対戦の際はバーコードを切り取った商品そのものも持ってくること
  4. 3回対戦(キャラ・アイテムで各2枚)で、全部違うバーコードを使うこと
  5. 強いバーコードなどのネット情報は漁らない(当時と同じ条件で)

ネットで情報収集をしない、という5のルールがポイントだ。

 

第1戦と第2戦は、懐かしの少年漫画で勝負

第1戦は『学級王ヤマザキ』と『カンニンGOOD』、第2戦は『サイボーグクロちゃん』&『ロックマンX』で戦うことにした。コミックボンボンや月刊コロコロコミックで連載されていた懐かしの作品たちを揃えてみた。

それに対して、ねりまちゃんは第1戦では「トッキュウジャーソーセージ」と「どうぶつの森チョコエッグ」を、第2戦では『翠星のガルガンティア 外伝・少年と巨人』&『つるつるとザラザラの間』を出してきた。

 

P1010273_R

 第1戦のねりまちゃんのアイテム。

 

バーコードバトル初体験の僕に対して、ねりまちゃんは幼少期の頃から「強いバーコードを探し求めていた」と語る。今日もその経験を活かした、選りすぐりのバーコードで戦うそうだ。

いざ、勝負ーー互いにバーコードを読み取った。

 

第1戦

【ねりまちゃん】「トッキュウジャーソーセージ」と「どうぶつの森チョコエッグ」

  • 生命力:94200
  • 攻撃力:8200
  • 守備力:7100

【山中】『学級王ヤマザキ』と『カンニンGOOD』

  • 生命力:11100
  • 攻撃力:9900
  • 守備力:7900

 

第2戦

【ねりまちゃん】『翠星のガルガンティア 外伝・少年と巨人』&『つるつるとザラザラの間』

  • 生命力:42200
  • 攻撃力:19900
  • 守備力:15600

【山中】『サイボーグクロちゃん』&『ロックマンX』

  • 生命力:34900
  • 攻撃力:9900
  • 守備力:7900

 

2回とも、ねりまちゃんのパラメータが圧倒的に強い(確信)。その戦いはわずか一瞬で終わり、なす術もなく惨敗してしまった。ちなみに、パラメーターが拮抗していれば、持久戦になったり魔法の応酬が見られるなどいい勝負っぽくなるのだが、秒殺って……(震え声)。

気を取り直して第3戦。僕は『バーコードファイター』と「紙パックの烏龍茶」で、ねりまちゃんは「リ・ガズィ(アサルトキングダム)」と「UHA(上海のおみやげ)」で勝負するも、わずか3ターンで僕は敗北した。

 

第3戦

【ねりまちゃん】「リ・ガズィ(アサルトキングダム)」と「UHA(上海のおみやげ)」

  • 生命力:80800
  • 攻撃力:14800
  • 守備力:12300

【山中】『バーコードファイター』と「紙パックの烏龍茶」

  • 生命力:19200
  • 攻撃力:9900
  • 守備力:8000

 

すみません、ぶっちゃけバーコードバトラーなめてました。

勝敗は、戦の前にほとんど決していたのだろう。ねりまちゃんの選びぬかれたバーコード戦士たちに、僕はなす術もなかった。今回、初めてバーコードバトルをして分かったのは、戦術よりも強いバーコードを探す方が大事だということ。戦略よりも、人材をきちんと揃えよう。社会の縮図が、こんなところにも宿っていたのだった。

 

きのこの山 vs. たけのこの里の因縁の対決がここに

しかし、これでバトルは終わらなかった――。

筆者が不甲斐ない結果になることを見通していたかのように、ねとぽよ編集部の2人がちょっと笑えるエキシビションを用意していたのだ。

 

【第1戦】『ワンピース』vs.『FAIRY TAIL』

【第2戦】村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』vs.村上春樹『ノルウェイの森』

【第3戦】「きのこの山」vs.「たけのこの里」

 

いつか実現したいと多くの人が思っているであろう夢の対決を、バーコードバトラーで実現してみた。因縁の決着が今、繰り広げられる。

 

エキシビジョン第1戦『ワンピース』vs.『FAIRY TAIL』

エキシビジョンの第1戦を飾るのは、『ワンピース』と『FAIRY TAIL』のバトル。これは「週刊少年ジャンプ」と「週刊少年マガジン」の代理戦争。ひいては集英社と講談社……いや、一ツ橋グループ vs. 音羽グループと言っても過言ではない。出版界を真っ二つに分かつ大激戦だ。公式同士の戦いは絶対に見られないけど、バーコードバトラーだから実現できる。

 

01

第1戦はワンピースとFAIRY TAIL

 

【ワンピース】

  • 生命力 59700
  • 攻撃力 16900
  • 守備力 10800

【FAIRY TAIL】

  • 生命力 19200
  • 攻撃力 9900
  • 守備力 8900

 

さっそく攻撃をしかけたのは、FAIRY TAIL。実は海外での人気が高く、アジアなどの一部地域によってはワンピースをも凌ぐという話すらある。新たな覇権を主張するかのように、クールジャパンの雄が、王者に牙を剥いた。

だが、画面には無情にも「MISS!」の文字。渾身の一打は空振りに終わる。すかさずワンピースの反撃。会心の一撃となって、FAIRY TAILのHPを遥かに上回る大ダメージが浴びせた。

勝者は、ワンピース。なんと1ターンでバトルが終わってしまった。まるで、累計発行部数の差をそのまま物語るかのような結果となった。

 

エキシビジョン第2戦 村上春樹『ノルウェイの森』vs.村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』

ダブル村上の対決が、ついにバーコードバトルで実現した。勝手な想像だが、なんとなく因縁がありそうなので、期待が高まる(震え声)。

 

04

リアルでは、絶対に戦わなさそうな二人だからこそ気になる対決

 

【村上春樹『ノルウェイの森』】

  • 生命力 29900
  • 攻撃力 3400
  • 守備力 14400

【村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』】

  • 生命力 50600
  • 攻撃力 9000
  • 守備力 10600

 

双方ともに守備力が高く、持久戦が予想される。この試合は思いもよらぬ展開をみせた。村上春樹の攻撃は、一度として村上龍に当たることはなかったのだ。村上龍が一方的に村上春樹を攻撃し続けるだけ。春樹の声は届かず、龍は一方的に春樹を攻撃する——文壇の何かを象徴しているのかもしれない。龍は傷ひとつ負っていないが、春樹の守備力の高さゆえに持久戦となった。

勝者は村上龍!

 

エキシビジョン第3戦 きのこの山 vs. たけのこの里

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

一体どちらに軍配があがるのか

 

長きに渡るきのことたけのこの戦いに、いよいよ終止符を打つときが来た。どちらが勝つのか、どんな戦いになるのか。一同が期待に満ち溢れた表情を浮かべてバーコードを当てるとーーきのこの山がプレイヤーとして認識されず、アイテム扱いされてしまったのだ。

「そんなこともあろうかと準備していた」と編集部がドヤ顔で持ちだしたのは、期間限定のきのこの山とたけのこの里。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

※ このあと、スタッフが美味しくいただきました

 

きのことたけのこの戦いであることには代わりがない、そう考え、もう一度バーコードを当ててみるが……「きのこの山」「大人のきのこの山」「きのこの山 いちごの練乳仕立て」の3バージョンを用意したにもかかわらず、全てがアイテム扱いになってしまったのだ。当然アイテムだけでは戦えない。全員が、どこか悔しげな表情を浮かべていた。この戦いを終わらせるのは、もはや神の領域なのかもしれない。

というわけで、たけのこときのこの戦いは一時中断。「たけのこの里」と「大人のたけのこの里」の戦いに、すなわちたけのこ同士の内戦に変えることになった。

 

新・エキシビジョン第3戦 大人のたけのこの里 vs. たけのこの里

これは、たけのこの里で起こってしまった内紛だ。大人と子供が対立してしまったが、やはり大人が勝ってしまうのか。はたまた、子供たちが一矢報いるのか。これはこれで、熱いバトルになる予感がする。この戦いを始めるにあたって、僕たちはまずこう考えた。

アイテム扱いになった「きのこの山」を「たけのこの里」が装備することはできないだろうか。夢のバトルはできなくとも、夢のタッグマッチはできるのではないか。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

きのこを武装した、たけのこ戦士たち

 

さっそくバーコードをあててみた。たけのこがきのこを受け付けない、だと……。「戦士」と「アイテム」であっても、バーコード同士の相性が悪いと装備することができないのだ。君たち本当に仲悪いな!

 

【大人のたけのこの里】

  • 生命力 27900
  • 攻撃力 4400
  • 守備力 6500

【たけのこの里】

  • 生命力 26100
  • 攻撃力 3600
  • 守備力 1800

 

気を取り直して、「たけのこの里」の大人と子供によるバトルを始めた。どちらも、生命力・攻撃力はほぼ互角。しかし、大人の守備力は6500に対し、子供は1800と劣っている。

1ターン目、大人たちは魔法を使って、子供たちの守備力を下げた。実に大人げない、そして堅実な作戦によって、戦いを有利に進めていく。 一方、子供たちはこのターンで有効な反撃を打てなかった。その次のターンからは、ただでさえ薄い守備力をさらに減らされ、HPをゴリゴリ減らされていく。結果、大人と子供の戦いは、わずか数ターンで大人の圧勝に終わった。

大人たけのこの勝利。大人げないぞ!

 

第3戦アンコール 大人のたけのこの里 VS. たけのこの里イチゴショコラ

ところで、たけのこの里の期間限定商品は「大人のたけのこの里」以外に、「たけのこの里イチゴショコラ」も用意していた。そこで僕たちは、このイチゴショコラを、第3戦で負けた子どもたちが「いちご」を身にまとって帰ってきたという設定で再戦させてみた。

 

【大人のたけのこの里】

  • 生命力 27900
  • 攻撃力 4400
  • 守備力 6500

【たけのこの里イチゴショコラ】

  • 生命力 41400
  • 攻撃力 6300
  • 守備力 300

 

守備力が300と、ほぼ紙装甲な子供たち。にも関わらず、なぜか大人たけのこからの攻撃が当たらない。いちごを武装した子供たけのこは、強くなったのだ。大人たちの攻撃をかわしながら、効果的に攻撃を決め続ける。気づけば、大人たけのこのHPはゼロを示していた。

たけのこの里イチゴショコラの勝利!

子どもたちは強くなり、大人たけのこに勝つことが出来たのだ。イチゴショコラの勝利の瞬間、思わず全員で歓声をあげた。

 

今、バーコードバトラーをする意味

懐かしの電子ゲーム・バーコードファイターは、こうして幕を閉じた。

実は最近になって、バーコードファイターと同じように、読み取ったバーコードを使って、サッカーゲームをするアプリができていた。これは、ネットで対戦することもできる。

 

スクリーンショット 2014-07-02 21.08.06

公式HPより)

 

しかし、僕らがバーコードファイターに求めていたものは、そういう電子ゲームではない。懐かしのゲームを大人になってから改めてやってみることは、単なるノスタルジーの喜びだけではなかったーー「ノスタルジー」を感じる懐かしのゲームを「リアル」で再現し、「物語」を自分たちで作り上げることが楽しかったのだ。

これは、リアルの新しい楽しみ方だと僕は思う。

ネットがなかった時代は、このバーコードファイターもリアルでの対戦だけで完結していた。しかし、それをソーシャルメディアで共有することで、この記事のように「物語」を作ることができたのだ。そのとき、もはや流行っていないゲームであっても、ノスタルジーが遊びの言い訳になる。

ノスタルジーは、僕たちに新しい「物語」を与えてくれる。みんなで大人げなく楽しむことができるのだ。これからも昔の物語とおもちゃを引っ張りだして、楽しく遊んでいくことを固く誓った。

 

そんな昔の物語とおもちゃのカタログとして、僕たち”放課後”が作った同人誌「REPLAY」をどうぞ!

 

REPLAYvol.1表紙校了修正

放課後公式ブログより)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
山中貴幸

山中貴幸

1989年生まれ。平成生まれの懐かしカルチャーマガジン『REPLAY』の編集。「コミックボンボン」「コロコロコミック」、90年代テレビゲーム、NHK教育アニメを中心に執筆も行う。
アニメ・アニソン界隈でライターもやっています。声優やアニソンアーティスト名のライブに行くのが趣味。陰性のオタク。